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【イオンダイレクトの齋藤岳彦社長に聞く】 イオンの通販、次の一手は?㊦

2014年 4月24日 14:55

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イオンダイレクトの目標は。

 「前期(2014年2月期)の売上高が約60億円で着地したが、今期の売上高は80~90億円に、来期は100億円を超え、来々期で200億円を超える、というのが前社長の小玉が描いた目標だ。まずはその達成に全力を注ぎたい」

 今期売上高が目標数値をクリアするには前期比50%増で推移する必要があるが足元は

 「悪くない。また、それを達成するための伸びシロも十分にある」

 伸びシロとは。

 「やはりイオングループとの連携だろう。インターネットの部分での連動もそうだが、まだまだイオンダイレクトの通販カタログの存在を知らない方も多い。カタログをイオンのお客様に知って頂くだけでも業績は跳ね上がるはずだろう。カタログをイオンの店舗に置くことがコスト面との見合いで実現可能かどうか、テストも考えている。また、着任して感じたのは社名に"イオン"という名称が入ってはいるが、社員はイオングループのこと、グループの力を誰も知らないということだ。ただ、逆にここに伸びシロがあると考えている。私はイオンリテール(グループの中核会社の1つ)の商品本部に長く在籍したこともあり、両社をつなぐことができる。やはり、イオンリテールのMD力はそれなりに優れており、彼らの商品をすべてそのまま販売するわけではないが"リテール"ではできないが"ダイレクト"では扱える商品などもあるはず。少なくとも仕入れルートなど情報共有などはできると思う。また、もしかしたら、イオンダイレクトでは現状ではまったく扱っていないイオンのプライベートブランド商品である『トップバリュー』の扱いなども可能性はあるかも知れない。まずは4月以降、当社の部長たちをイオンの商品会議に連れて行き、体感してもらうところから始めたい」

 改めてイオンにおける通販とは何か。その中でイオンダイレクトがどういう役割を担っていくのか。

 「イオンの店舗の周辺の消費者の年齢が高くなればなるほど、店舗の商圏は狭まっていくわけだ。そうなるとお客様は段々、店舗で来店されなくなってくる。そのため、我々も競合も盛んに『オムニチャネル』ということで、いわゆる店頭とネットがシームレスにつながる関係を模索しているわけだ。イオンはこれまでリアル店舗ありきで商売をしてきたが、店舗に来店されなくなったお客様にリーチする方法として、直接的にお客様にアプローチできる通信販売が担えることは多いと思う。

 また、イオングループでは中期的な成長戦略として『アジアシフト』『都市シフト』『シニアシフト』『デジタルシフト』の4つの"シフト"を掲げているがその1つである『シニアシフト』で我々、イオンダイレクトをグループの中でその最先端を走る会社にするというのが私のミッションの1つだ。カタログやネット、電話について、いかにシニアの方々に役に立てるかを常に追求していきたい。カタログの低迷などと言われているが、まだまだネットで商品を購入することに抵抗を持たれたり、大変だと思われる層も多い。そういった意味で紙、カタログの方が、ここしばらくは商売上でもお客様にとってもまだ優位性があり、チャンスもあるのではないかと実は思ったりもする。ここ数年、カタログには注力してきたが、細かいところでは文字の大きさだったり、衣料品のサイズのバリエーションだったり、まだまだ60、70、80代の方々に本当に使いやすい紙面になっていない部分もあると思う。こうしたところにも手を入れ、発刊直後だけ見るのではなく、少なくとも次号ができるまで長く見て頂ける紙面作りを考えていきたい。

 ネットに関しても、カタログと連動して、カタログでは見せきれない細かい情報はこちらに掲載しているという案内を入れて連動させてもよい。また、例えばだが、この前、イオンで格安スマートフォンの販売を始めたが、我々のシニアのお客様にも便利な買い物の方法としてスマホの利用をうまく提案していければと考えている。まだ構想段階だが、例えば我々が専用のアプリケーションを作り、『困ったことがあればお電話してください』と使い方や商品の購入の仕方、医薬品販売の窓口、イオンの店の行き方までを含めたコンシェルジュサービスの提供なども我々が行えればと考えている。シニアシフトが先行する日本で"シニアでの成功体験"が築ければ、アジアなど海外で横展開できる可能性もあるわけでイオングループとしての貢献にもつながると思う。シニア層に様々な役に立つ提案、サービスを行い、その結果として、お客様から『ありがとう』という言葉が聞けるような会社にしていきたい」 

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