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アマゾンジャパン、"発売日の前日"に商品を、掟破りも「問題ない」

2013年 2月21日 10:34

「お客様の利便性向上につながるサービスだ。(実施は)まったく問題ない」。アマゾンジャパン(本社・東京都目黒区、ジャスパー・チャン社長)がこのほど開始した"発売日の前日"に商品を配達する「発売日前日お届け」が話題となっている。「発売日前日お届け」とはDVDなど一部商品を対象に期日内に予約の上、有料の即配サービスで注文した利用者に本来の発売日の前日に商品を届けるもの。現状の「発売日先日お届け」の対象商品は歌手のライブDVDなどが中心。「少しでも早く手に入れたい」と思うファンにとっては確かに嬉しいサービスであるものの、「発売日の前」に販売するというある意味で"掟破り"とも言える同サービスには様々な声があがっているようだ。

 「発売日前日お届け」の対象となるのは一部のCD、DVD、ブルーレイディスクで、該当商品を定められた期日までに予約し、かつ別途350円(※有料会員制度「Amazonプライム」会員は無料)かかる「お急ぎ便」で注文すると、発売日前日に届くもの。詳細ページに「発売日までに商品を受け取るには、お急ぎ便をご利用の上、予約注文してください」との記載があり、さらに「お急ぎ便をご利用の場合、発売日前日にお届けします」という記載があるものが「発売日前日お届け」の対象商品となる。

 2月中旬時点での対象商品数は歌手のコンサートや洋画、ドラマ、アニメなどのDVD、ブルーレイなど約260タイトル。今後も対象タイトルを順次、拡充していく模様。また、「発売日前配達」にニーズがありそうなジャンル、例えばゲームや玩具などについても「発売日前日お届け」に対応していく可能性も高そうだ。

 なお、アマゾンジャパンによると同サービスは日本の「CD、DVDの業界における独特の商慣習に準じたサービス」で、基本的には日本のアマゾン独自のサービスとなるが一部、ヨーロッパのアマゾンでも同様のサービスを展開しているよう。また、同サービスの開始時期については、対象商品がまだ少なく、本格展開前の段階のため、「サービス開始時期については公表できない」(同社)とするが、恐らく今年に入ってから開始したものと推測される。

 アマゾンが今回開始した「発売日前日お届け」。狙いの1つは、他人より早く手に入れられるという高い販促効果だ。歌手やアニメなどのファンにとっては、関連するCDやDVDを「少しでも早く手に入れたい」と思うのは当然で早期販売による販促効果も期待していると見られる。また、同サービスの利用に必要となる有料の即配サービス「お急ぎ便」が無料となる特別配送サービスの有料会員制度「Amazonプライム」(年会費3900円)の加入者数の拡大という狙いもありそう。関係筋によると「Amazonプライム」会員は他の顧客と比べて、購入頻度が高い優良顧客となる傾向が高いようで、アマゾンでは最終的に「Amazonプライム」会員に誘導していく学生向け、子育て世帯向けといった様々な会員制度を昨年から開始しており、今回もその一環という意味合いもありそうだ。

 とは言え、メーカーなどが決めた「発売日」の前に商品を販売するという行為はある意味でタブー。こうした商習慣を破ってまで発売日前に販売するサービスを開始した理由についてはアマゾンでは「(実施は)まったく問題ないと思っている。何よりお客様の利便性の向上につながると考えた」とコメントしている。

 アマゾンの今回の試みを受けて、あるメーカーの担当者は「こっそりではなく、堂々と"公式サービス"としてやられてしまって正直、戸惑っている。他社も追随してしまいそうで収拾がつかなくなりそう」とする。また、あるネット販売サイトの運営者は「実店舗では発売日の前日に商品が並んでいたことはよくあることで、そうした実態に即しただけ。アマゾンが許されるならと、"発売日前日販売"を実施してくるサイトは増えるのでは」という声もある。「送料無料」など「ネット販売のスタンダード」を作り上げてきたアマゾン。今回の試みもネット販売の新たなスタンダードとなりうるのだろうか。

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