医薬品ネット販売規制訴訟で国の上告を棄却する最高裁判決が出たことを受け、1月11日から第1、第2類の一般用医薬品のネット販売を再開したケンコーコム。販売再開後の売り上げ状況や厚生労働省が進める医薬品ネット販売のルール整備に対する見方などについて、後藤玄利社長に話を聞いた。
(聞き手は本紙編集次長・後藤浩)
ネットも安全確保は大前提、厚労省のルールづくり〝公正な議論を〟
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裁判を振り返っての所感は。 「裁判中は、精神的にも経済的にも厳しい3年半だったが、最高裁が正しい判断をしてくれた。今回の判決は、当然の結果だと思っている」
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一審では、情報提供の部分でのネットと対面の優劣論に焦点が当てられ、原告(ケンコーコム側)全面敗訴の判決が出たが。 「規制の合理性や整合性などを考えれば、おかしいのは明らか。何故、一審であのような判決が出てしまったのか、いまだに分からない」
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最高裁判決では、医薬品ネット販売の規制にいたるまでの経緯に触れているが、改めて検討段階での問題は何と考えているのか。 「改正薬事法と省令の括りの中で、最初からボタンの掛け違いがあったと思う。情報提供の部分で"インターネットは危険"というイメージがあり、その前提で話が進められた。そこからいくらロジックを構築しようとしても、やはり正しい結論には行き着かない」
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最高裁判決が出た1月11日から第1、第2類の医薬品ネット販売を再開したが、売り上げの状況はどうか。 「医薬品は順調に伸びている。日次ベースの医薬品の売り上げ構成比を見ると、3年半前(規制導入前)で7、8%だったのだが、すでにそれを上回る水準になっている。これは医薬品ネット販売に対するニーズの高さを裏付けるものだろう」
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規制導入後、子会社のケンコーコムシンガポール(ケンコーコムSG)を通じ、個人輸入の形で日本の顧客向けに医薬品ネット販売を行ってきたが、今回の最高裁判決を受けて何か展開を変えるのか。 「日本の顧客向けの医薬品ネット販売は、月商ベースで3000万円程度の売り上げがあったのだが、日本での医薬品ネット販売再開を受け、日本の顧客向けの展開を縮小している。数カ月後には、日本向けの医薬品ネット販売をやめることになるだろう。ケンコーコムSGについては、海外展開の拠点としての役割を明確にし、事業拡大を図っていく」
――
情報提供など医薬品ネット販売での安全性確保の取り組みは。 「医薬品は顧客の健康に関わるものである以上、安全確保は大前提。当社としても日本オンラインドラッグ協会(JODA)のガイドラインをベースに安全性の確保に取り組んでいく。JODAのガイドラインも、より現状に合致した形にバージョンアップしている。最高裁判決後、事業者から加盟の問い合わせも増えているが、今後、説明会などを行い、ガイドラインの周知徹底を図っていくつもりだ」
――
医薬品ネット販売のルール作りに向け、厚生労働省に何か働きかけをする考えは。 「裁判が始まってから、厚労省にJODAのガイドラインを説明しようとしたこともあったが、係争中ということもあり取り合ってもらえなかった。音信不通の状況が続いていたが、最高裁判決が出たことでノーサイドの笛は吹かれている。厚労省に対しても、働きかけはしていくつもりだ」
―
―ルール作りの検討作業で、厚労省に要望することは。 「過去の検討会のような結果ありきの議論をするのではなく、公正な議論をしてほしい。また、ルールを守れなかった事業者を退場させるなどの罰則を設けて欲しい」
(聞き手は本紙編集次長・後藤浩)
ネットも安全確保は大前提、厚労省のルールづくり〝公正な議論を〟
――裁判を振り返っての所感は。
「裁判中は、精神的にも経済的にも厳しい3年半だったが、最高裁が正しい判断をしてくれた。今回の判決は、当然の結果だと思っている」
――一審では、情報提供の部分でのネットと対面の優劣論に焦点が当てられ、原告(ケンコーコム側)全面敗訴の判決が出たが。
「規制の合理性や整合性などを考えれば、おかしいのは明らか。何故、一審であのような判決が出てしまったのか、いまだに分からない」
――最高裁判決では、医薬品ネット販売の規制にいたるまでの経緯に触れているが、改めて検討段階での問題は何と考えているのか。
「改正薬事法と省令の括りの中で、最初からボタンの掛け違いがあったと思う。情報提供の部分で"インターネットは危険"というイメージがあり、その前提で話が進められた。そこからいくらロジックを構築しようとしても、やはり正しい結論には行き着かない」
――最高裁判決が出た1月11日から第1、第2類の医薬品ネット販売を再開したが、売り上げの状況はどうか。
「医薬品は順調に伸びている。日次ベースの医薬品の売り上げ構成比を見ると、3年半前(規制導入前)で7、8%だったのだが、すでにそれを上回る水準になっている。これは医薬品ネット販売に対するニーズの高さを裏付けるものだろう」
――規制導入後、子会社のケンコーコムシンガポール(ケンコーコムSG)を通じ、個人輸入の形で日本の顧客向けに医薬品ネット販売を行ってきたが、今回の最高裁判決を受けて何か展開を変えるのか。
「日本の顧客向けの医薬品ネット販売は、月商ベースで3000万円程度の売り上げがあったのだが、日本での医薬品ネット販売再開を受け、日本の顧客向けの展開を縮小している。数カ月後には、日本向けの医薬品ネット販売をやめることになるだろう。ケンコーコムSGについては、海外展開の拠点としての役割を明確にし、事業拡大を図っていく」
――情報提供など医薬品ネット販売での安全性確保の取り組みは。
「医薬品は顧客の健康に関わるものである以上、安全確保は大前提。当社としても日本オンラインドラッグ協会(JODA)のガイドラインをベースに安全性の確保に取り組んでいく。JODAのガイドラインも、より現状に合致した形にバージョンアップしている。最高裁判決後、事業者から加盟の問い合わせも増えているが、今後、説明会などを行い、ガイドラインの周知徹底を図っていくつもりだ」
――医薬品ネット販売のルール作りに向け、厚生労働省に何か働きかけをする考えは。
「裁判が始まってから、厚労省にJODAのガイドラインを説明しようとしたこともあったが、係争中ということもあり取り合ってもらえなかった。音信不通の状況が続いていたが、最高裁判決が出たことでノーサイドの笛は吹かれている。厚労省に対しても、働きかけはしていくつもりだ」
――ルール作りの検討作業で、厚労省に要望することは。
「過去の検討会のような結果ありきの議論をするのではなく、公正な議論をしてほしい。また、ルールを守れなかった事業者を退場させるなどの罰則を設けて欲しい」