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2012年10大ニュース・読者の声 SNS活用は「未開拓」、大手寡占化懸念の声も

2012年12月13日 10:25

 2012年の通販業界で強い印象を読者に与えた10大ニュースのうち、1~3位までを1面で取り上げたが、本欄では4位以下のニュースに対する読者の声を紹介していく。

 4位は「通販市場規模5兆円に迫る」。11年7月調査と比較すると、伸び率はやや鈍化したものの、拡大基調は今年も続いたことが分かる。「通販商品の多様化、通販の信頼性向上などにより今後もさらに拡大する」との見方がある一方、「これ以上伸びるかはネットユーザーの拡大次第」「ネット販売を中心に市場規模が拡大しているが、一方でこれまでのカタログ・ダイレイクトメールなどは減少傾向にあり、トータルでは伸び率が鈍化するのでは」といった意見もみられた。

021.jpgのサムネール画像 5位に入ったのは「リアル連動『O2O』進む」。ネットから実店舗への集客を図る「O〓O(オンラインからオフラインへ)」の動きが活発化しており、実店舗を持つ企業のみならず、ネット専業の中でも有店舗企業との提携により新規顧客獲得を図る動きが出てきている。「通販市場が堅調に推移する中で、販路拡大の可能性とO2O推進の必要性を感じた」(百貨店企業)、「店舗を持つ強みを出し、新ビジネス構築で市場を拡大したい」(アパレル企業)など、やはり店舗を有する企業の注目度が高かった。一方、ネット企業からは「スマートフォン、タブレットなどデバイスが増える中で顧客との接点も複雑化しており、(実店舗と)統合した購買体験の提供が必要となる」などの意見が聞かれた。

 6位には「悠香の『茶のしずく』一斉提訴」がランクイン。昨年のランキングでは「茶のしずく」の自主回収が4位に入ったが、問題が終息する気配はなく、今年も高い注目を集めた。アンケートでは「業界全体の信用問題となりうる」「石けんを扱っており、人ごとではないニュース」「コンプライアンス整備の必要性を痛感」など、重く受け止める意見が多かった。「再建は難しいのではないか」という声もあるなど、悠香の顧客対応や裁判の行方に注目が集まっている。

 同じく6位は「ソーシャルメディア活用進む」だった。フェイスブックやツイッターといったソーシャルメディアの活用は通販企業の間でも当たり前となっているが、結果が出ている企業は多くないのが実情のようだ。アンケートでも「SNSからどのように購買につなげるか、さまざまな企画を実施しているが思うような成果は挙がっていない」「本格的に通販での購買には結びついていない」との声があった。ただ、「非常に進歩の速い世界なので影響は出てくる」「各社未開拓なので、逆にチャンスはある」といった前向きな意見や「活用しないと既存顧客に情報が届かない可能性もある」といった意見もあった。

 8位に入ったのは「楽天がケンコーコム買収」。楽天はスタイライフの筆頭株主にもなっており、大手による寡占化を懸念する声があったほか、「仮想モール型から、自社販売中心のアマゾン型への転換の兆し」との見方もあった。

 9位は「ネットスーパーが流行」。食品通販からは「商品の特別感、希少性が必要になる」との意見が聞かれた。また、宅配の普及について「ライフスタイルが変わっていることの表れ」とし、今後の市場の流動性に注目する声もあった。

 10位は「電子書籍・タブレット端末が普及」と「ヤフー・アスクル提携」。前者については「タブレットの普及で中高年層でも通販が利用しやすくなる」「タブレット商戦は過熱化し、利用ユーザーは拡大するだろう」といった声が、後者については「楽天のケンコーコム買収と同じく、大手による寡占化の表れ」という声が聞かれた。

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