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経済産業省 子ども服の安全規格検討、今年度中に素案作成へ

2012年10月25日 10:44

051.jpgのサムネール画像 経済産業省は子ども服の安全性に関する国際レベルの規格づくりに向けた検討作業を始めた。子ども服に起因した重篤な事故の未然防止を目的としたもので、遊具などに絡まり窒息する恐れのある引き紐やコード紐の規格の素案を作るほか、フードについても規格の必要性を検討する。子ども服を巡る重篤な事故事例は、国民生活センターや製品評価技術基盤機構にも報告がないが、経産省では今回の取り組みを通じ潜在的な事故の芽を摘み取る考え。規格が正式に決まった場合、メーカーや通販など流通事業者には商品デザインの制約などにつながる可能性もあるが、同省の委員会に出席した事業者側の委員からは、今後の事業展開などを考えると、海外でも通用する規格・基準を設ける必要があるのではないかとの意見も出された。

 経産省では、「子ども服の安全性に関する国際標準化先導調査」の検討委員会(委員長・持丸正明産業技術研究所デジタルヒューマン工学研究センターセンター長)を設置し、子ども服の規格に関する検討を推進。規格数値などの具体的な内容をワーキンググループ(WG=日本規格協会・中久木隆治WG委員長)で協議し、検討委員会に諮る流れになる。

 WGが打ち出した内容としては、まず消費者団体から指摘が多い子ども服の引き紐とコード紐の安全規格内容を検討し素案を作ること。これは今回の取り組みの最優先課題となるもので、一定の力が掛かると切れるなどの性能規定ではなく、紐の長さなどの仕様規定に絞り、BS(英国規格)やEN(欧州規格)、ASTM(米国材料試験協会)といった海外の当該規格を参考にしながら、国際的に通用する規格の素案作りを進める考えを示した。また、必要に応じて紐以外のボタンやジッパー、フードに関する規格や試験方法のほか、規格ができた後の事業者や消費者への普及策として認証制度の設置なども検討項目にあげている。

 経産省では10月18日に検討委員会を開催し、WGから上がってきた検討内容について、メーカーや流通業、消費者団体などの委員から意見を収集。この中で、引き紐およびコード紐については、委員から規格化した方が管理しやすいなどの意見があり、消費者方法消費者が一目でわかりやすいことなどを踏まえ、仕様規定を前提に素案を作る方向を確認した。

 また、紐以外のボタンやジッパー、フードについては、消費者団体の委員から子ども同士で引っ張り合うなど危険なためフードの規格素案も検討すべきとの意見が浮上。これについては、WGでも議論し、事業者側と消費者側の合意できる内容がまとまれば規格素案に盛り込み、そうでない場合には報告レベルにとどめることとした。

 一方、メーカー側の委員からは、WGの検討作業の進め方について、海外規格での子ども服の年齢の分け方が大雑把であることから、年齢によってリスクの生じる可能性が違うことなどを勘案し、細かく見ていく必要があると指摘。このほかに委員長提案として、規定の表現の強さや規制との関係性、事故事例の頻度や重特性なども検証すべきとの意見が出された。

 子ども服の安全性を巡っては事故情報がなく実態は不明。また、公的な規格(JIS)も制定されておらず、業界団体のガイドラインがあるものの、事業者の間であまり浸透していないという。

 これに対し経産省では、潜在的な事故のリスクがあり、通販・ネット販売など販路が多様化していることなども加味し、安全性に配慮した商品設計の統一的な基準の策定が必要と判断。今回、国際的に通用する子ども服の安全規格作りに向けた取り組みに乗り出した。

 WGでは10月2日開催の第1回会合を含め、来年2月まで計8回の会合を開催し、WGの検討結果が出た後、今年度中に検討委員会会合を開き、引き紐とコード紐の規格素案を盛り込む最終的な報告書をまとめる予定。経産省によると、調査委員会でまとめた素案をもとにした正式な規格ができるとすれば、14年度以降になる見込みだという。

 メーカーや流通事業者にとって、子ども服の安全性規格はとしては、デザイン面での制約や新たなコスト負担の発生なども懸念されるが、事業者側の委員の間では、今後の海外事業展開を考えると、国際的に通用する規格があった方がいいとの見方が強い。子ども服を扱う通販事業者も、安全性規格作りの動向を注視する必要がありそうだ。

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