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楽天市場・送料課金の余波⑤ 〝社会問題化〟カギに

2012年10月25日 10:30

 企業法務に詳しい弁護士は「現段階では公正取引委員会が動く可能性は低いのではないか」と話す。それでは、出店企業に打つ手はないのか。

 「公取委に問題を認識してもらうことが先決」(弁護士)。この弁護士が関わっていた、コンビニエンスストアのフランチャイズ(FC)店問題の場合、加盟店を取りまとめる団体や、弁護士の連絡会が存在する。

 2009年には、セブン―イレブン・ジャパンが加盟店に対して、売れ残り弁当の値引き販売を禁止したことについて、公正取引委員会が独占禁止法違反で排除命令を出した。弁護士は「FC店問題の場合、マスコミに取り上げられることで、被害の詳細が社会に知れ渡ったことも大きい。そういう意味では加盟店がまとまって行動することは重要だ」と指摘する。

 まず考えられる手段は、公取委への相談・告発だ。これに関しても弁護士は「なるべく件数が集まった方が公取委の動く可能性は高まる」という。

 前回も言及したように、公取委は社会的な問題であるかどうかをかんがみて調査するかどうかを決める傾向がある。相談件数が多ければ大きな問題であると判断される可能性は高まる。さらには、出店企業が組織的に動くことができれば大手マスコミで取り上げられる可能性も出てくる。

 もう一つ取れる手段としては、民事での差し止め請求が考えられる。つまり、「送料への課金は独禁法違反である」として差し止めを求めるための裁判を起こすというものだ。裁判の過程で問題が明らかになれば、公取委側も動きやすくなる。

 ただ、こうした訴訟は1社だけで起こすのはハードルが高い。送料への課金額自体は多いものではないだけに、差し止めが認められるとは限らない裁判にコストや時間を取られるのは大きな負担となるからだ。

 楽天市場への出店企業はコンビニのFC店のように団体が存在しないため、複数社でまとまった行動を起こすのは現状では難しい。出店企業の規模がまちまちで、楽天への依存度も異なるため、今後もこうした団体を作るのは困難といえよう。一方、訴訟を起こしても負担の少ない大企業に対しては、「楽天も値引きなどの配慮をするのではないか」(弁護士)。

 楽天を公取委に訴えた元出店企業もある。通販サイト「石けん百貨」を運営する生活と科学社は05年11月、楽天の出店規約の一方的な変更は、独占禁止法違反(優越的地位の乱用)の疑いがあるとして公取委に調査を申告した。(つづく

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