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進化するTSS ヤマトロジの神奈川拠点、化粧品の対応強化 

2012年 6月 1日 16:24

 ヤマト運輸が国内で展開する拠点の中でも、最大級の規模を擁する神奈川ベース(神奈川県横浜市鶴見区)。同ベース内に設けられている「神奈川クイック通販ロジセンター」は、ヤマトロジスティクス(同・東京都中央区、金森均社長)が展開する通販事業者向け物流サービス「トゥデイ・ショッピング・サービス」(TSS)のベース一体型拠点の第1号になる。これまでTSSは、商材の特性に応じたサービスを提供し進化を遂げてきたが、神奈川クイック通販ロジセンターでは、新たに品質管理に重点を置いた化粧品対応の強化に乗り出している。

 神奈川ベースは、敷地面積6万1865平方メートル、延床面積8万1142平方メートルの規模を擁する。YLCの神奈川クイック通販ロジセンターは、同ベースの物流棟2フロアを使って展開するもので、1万ケース分の間口を持つ自動倉庫システム「オートピックファクトリー」(APF)などを装備する。

 TSSの最大の特徴は深夜0時までの受注商品を翌朝には届けるなど、商品の受注から到着までのリードタイムを極端に短縮したこと。これにより返品率を下げ、通販事業者の売り上げ拡大と、返品コストの削減を図るのが基本的な考え方だ。

 現在、神奈川クイック通販ロジセンターでTSSを利用する通販事業者は20~30社で、中心は、アパレルと健康食品、化粧品。関東1都7県の顧客に向け、1日に5000~7000個の商品を出荷しているという。

 この神奈川クイック通販ロジセンターで取り組んでいるのが、品質管理を意識した化粧品の対応強化。アパレルや健食などもターゲットであることに変わりはないが、有力メーカーの新規参入や取り扱い強化の動きが活発な化粧品通販の対応は、重要なテーマ。特に、自社で商品を製造する化粧品通販事業者の場合、工場の品質管理体制を出荷現場まで適用するなど、強いこだわりを持つところもある。

 同センターの取り組みは、こうした化粧品通販事業者のニーズへの対応を狙ったもの。特に同センターの場合、施設自体が新しくきれいであるほか、空調を完備し、暑くなると柔らかくなってしまう口紅なども扱いやすいなど、環境が整っていたことも、化粧品対応の強化にいち早く着手できた要因だ。

 具体的に化粧品対応強化の取り組みがスタートしたのは2012年1月頃からで、内容は、化粧品を扱う従業員のオペレーション徹底や専用ユニフォーム導入など。このほかに顧客企業が求める品質管理水準に対応した什器の設置の設置など、個別対応も行う。仕組みの構築に当たっては、顧客の化粧品通販事業者に足を運び出荷時の商品管理体制などを研究。「お客様からご指摘を頂きながら、合格点をもらえる水準にすることができた」(牧野栄治センター長)とする。

 また、今回の取り組みで、特に重視したのは、必要なもの以外は倉庫に持ち込まないなど従業員に対するオペレーションの徹底。従来は、あまり意識しなかったことだが、「お客様の信頼を得なければ、やっていけない部分もある。そのあたりはできる限り厳格にしている」(同)。すでに現場を見学している化粧品通販事業者もあるが、軒並み評価は高く、TSSの導入を検討しているところもあるようだ。

 現状、神奈川クイック通販ロジセンターを利用する化粧品通販事業者は十社弱だが、今回の化粧品対応の強化と、少ない出荷量でも利用しやすい簡易型のTSSの仕組みと合わせた提案などで、中小の化粧品通販事業者の開拓を進める構え。今後、神奈川クイック通販ロジセンターで化粧品対応策の検証やブラッシュアップなどを進め、ニーズがあれば他の拠点に取り組みを広げていくことも視野に入れる。

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