エイチ・アール・ケイ（ＨＲＫ）岩本初恵社長のメディア露出が増えている。２０１０年末、自らをイメージキャラクターにテレビＣＭを始めたが、その活躍の場は通販ＣＭに留まらず、レシピ本の発行や講演会の講師、果てはテレビ番組ＭＣにまで広がっている。社員をして"商品を紹介するわけでもなく、通販事業に全く関係ない＂と嘆かせる岩本社長の行動だが、その実、社長ファンの拡大が通販事業にも好影響を及ぼしているといえそうだ。岩本社長と中村浩之専務に今期の動向を聞いた。（聞き手は本紙取締役業務局長・青木実）

　――テレビＣＭの出稿量が急激に増えているが。

　岩本社長（以下、岩本）「（民間信用調査機関の）ビデオリサーチ社が調査した『２０１１年のテレビＣＭ出稿秒数（関東地区）』が前年比増加率でトップに選ばれました」

　――出稿量は通販事業に直結するが今期（12年９月期）の業績はどう推移しているか。

　岩本「前期は東日本大震災の影響ということではなく、今後の成長に向けた土台を作ろうと売り上げを調整しました。今期は上半期で前期決算（注・約61億円）の規模に達しており、１２０億円に達するペースで推移しています」

　――物量拡大への対応も必要になる。

　岩本「既存の物量拠点が手狭になっていますから、来期は佐賀県唐津市に新たな物流拠点開設も計画しています（本紙１３６２号既報）」

　――各商品の販売動向は。

　岩本「売り上げ比率は『うるおい宣言』を10とした場合、『すらっと宣言』が９、『コラーゲン入りうるおい二十雑穀』と『スキップ宣言』が５といった感じになります」

　――昨秋発売した「二十雑穀」や、グルコサミン配合の「スキップ宣言」の動向は。

　岩本「『二十雑穀』は社員食堂での提供が好評で商品化し、さらにお客様に広がってきた商品。当初ＣＭも展開しましたが、作付け面積に限りがあり、想定以上の反響から安定供給が難しくなりました。ですから今は既存客のみの販売でＣＭも休止しています。『スキップ宣言』は元体操選手の森末慎二さんをイメージキャラクターに使い、５月中旬にテレビＣＭを始めます」

　――好調な業績の要因は、やはり社長の露出度が高まっている影響か。

　中村専務（以下、中村）「大きいですね。まずＣＭを見て岩本が身につけているものから注文きますから」

　――ＣＭ以外にも露出を増やされている。

　岩本「社員を見ていただきたいと思って訪問して来られたメディアの方には食堂で食べていただいていたんですが、これが評判で。５月末に社員食堂のメニューを基にした『レシピ本』（主婦と生活社）が出ます。６月１日から３日まで六本木ヒルズの『ヒルズカフェ』に食堂を再現したイベントも行います」

　中村「会社における食堂の意味合いというか、（岩本が）母親として子供（注・社員）の食事を考えていることに共感してもらい、提案を受けました」

　――今後も新しい提案は出てくるのではないか。

　岩本「昨年、福岡ハワイ間の直行便が就航したことに関連し、（福岡県が放送エリアの）ＲＫＢ毎日放送が『ＤＲＥＳＳ』という女性のライフスタイルに関する情報番組のロケでハワイに行ったんですが、ＭＣをお願いされて。レポーターとして現地のおしゃれな方を捕まえてインタビューしてきました」

　中村「それがきっかけで現地のラジオ局からも依頼がきて、急遽日系人向けのラジオ番組にも出演させてもらいました」

　中村「４月にはＮＰＯ法人サカエ会の創立１周年を記念した講演会（福岡県飯塚市）の講師を務めますし、７月にも九州商工会女性部の依頼を受け７００人規模の講演会（佐賀県唐津市）も行います。ＢＳ局からも"番組制作の依頼を受けて、企画を詰めている段階です」

　――講演会で商品は販売しない。

　岩本「しません」

　中村「講演代も一切受け取らない」

　岩本「この子らはすぐいただこうとする（笑）。一人２０００円くらいならいくらとかすぐ計算する」

　――新番組は通販番組ではない。

　岩本「違います。美容やスタイルの作り方をテーマにした番組です」

　――現在のアクティブ顧客の数は。

　岩本「（２回目購入の顧客は）１６０万人ぐらいいますね」

　――今後の展開は。

　岩本「健食が徐々に独り立ちしてきたので来期以降はスキンケアの販売に力を入れていきたいと考えています」

　――ＣＭ展開は。

　岩本「来期に計画しています。既存のお客様からも嬉しい声が多く、リピート率も高いのでやらないわけにはいかないと」