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同社が化粧品事業を開始したのは1987年のこと。主力とする清酒の市場は1973年をピークに縮小しはじめており、新規分野への参入は、新たな収益源確保を目指したものだった。
しばらくは酒販店ルートを中心に「米ぬか美人」シリーズを展開していたが、顧客層の拡大を目指し、2000年から通販を開始した。参入にあたり、日本酒酵母エキスを使用した「NS―K」シリーズを新たに投入。売り上げは順調に伸びており、清酒事業が縮小傾向にある中で、会社の柱となりつつある。収益面に関しても「開始から4、5年で会社に貢献できるようになった」(通販事業本部の王子龍司部長)という。
化粧品の通販開始に次いで食品と健康食品の取り扱いも開始。また、化粧品では「NS―K」の上位商品として、スペシャルシリーズも展開している。
主な販路は新聞広告と折込チラシ。テレビは、数分のインフォマーシャルを放送しているものの、大きな売り上げにはなっていないという。今後は長尺の番組制作も含めて「本格的な展開も考慮したい」(同)とする。また、ネット販売は2年前から本格的な取り組みを開始。50~60代女性が顧客の中心となることから、ネット販売の全体の売り上げに占める割合は低いが、中高年層にもスマートフォンの普及が進んでいることもあり、強化したい考えだ。
通販売上高は明らかにしていないが、2012年3月期は前期比で横ばいとなる見込み。震災の影響で4・5月はほとんど出稿できず、再開後の6月以降はレスポンス率が震災前に比べて急激に悪化。さらに、秋からは競合の広告が急増したこともあり、CPRの厳しい状態が続いたという。現在は回復傾向にあるものの、震災前の状態には戻っていない。
新規獲得は苦戦した今期だが、既存顧客に関しては、スペシャルシリーズが伸びたこともあり客単価が向上。クロスセルも好調に推移し、トータルの売上高は現状維持となる見込みだ。
今後の課題は、クロスセルのさらなる充実。現在は、食品や健食のほか、リキュール(ユズ・モモ・梅酒)といった、女性向けの酒類を、会員に毎月送るダイレクトメールで訴求している。ラインアップを拡充するほか、食品は「価格競争に陥らない、日本盛ならではの商品を開発」(同)することで、粗利率の改善にもつなげるほか、新規からリピートへの移行率を向上したい考えだ。