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確かに2兆円ほどの市場に1000社超もの製造事業者が存在できている業界の姿は異様だ。販売サイドに目を向ければ、ネットの普及が中小の参入を容易にし、異業種からの参入で競争が激化している。一方でこれら新規参入の増加で「製造」の現場は潤い、市場の飽和に反して真の意味で競争に晒されてこなかったと見ることができる。そのような市場だからこそ許されてきた"商流"がある。
これまで、化粧品原料の取引は「一次代理店」「二次代理店」など複数の中間事業者を介して行われてきた。これら中間事業者の存在は、原料メーカーにとって営業コストを削減することにつながり、販売事業者にとっても「中間事業者に聞けば大概の原料が網羅でき、時間の浪費を短縮できる」(販売事業者)メリットがあった。"情報ハブ"として存在感を発揮してきたわけだ。
だが、ネットの普及により、古い商流はその弊害ばかりが目立つようになった。
例えば、魅力的な原料を扱う事業者がいたとしよう。販売事業者はネットを開けばすぐその情報を手に入れることができる。が、原料メーカーに問い合わせると開口一番「その件なら○○商会に聞いてください」などと言われるはずだ。大手ならいざ知らず、多くの販売事業者は原料メーカーと直取引することは叶わない。メーカーはエリアや取引量などあらゆる要件で代理店ルートを管理しているためだ。これまで"当然の事"と受け入れてきたことではあるが、中間事業者の介在が生むコストは商品価格を押し上げる要因となっている。
競争激化の中で海外に活路を見出す販売事業者が増える中、競争相手は国内企業に限らない。一方で「製造」の現場にとっても海外から安価な原料や容器の調達が可能になる中、硬直的で、旧態依然とした構造を引きずることがいいはずはない。近い将来、販売事業者の国内外の市場における競争力を失わせ、原料メーカーの共倒れすら招きかねないからだ。「原料の直販」に打って出たサティスの決断もこうした危機感の表れではないだろうか。
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化粧品の通販市場は資生堂やコーセーなど大手参入が相次ぎ、チャネルの枠を超えた企業間競争の時代に突入している。
サティス製薬の新事業の成否は別として、「製造」の現場に変革を迫る一企業の決断は販売事業者としても歓迎すべきことだろう。業界に変革を迫ることは、中間事業者にも現状に甘んじることなく、海外市場を含め存在感を発揮できる新たな舞台を提供することになる。(おわり)