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有力各社の次の一手は? 爽快ドラッグ ネット独自の差別化模索、メーカーとの連携カギ

2011年 6月30日 18:00

 住友商事のグループ会社で日用品などのネット販売を行う爽快ドラッグは、前期売上高が1・4倍増の89億円と依然高成長を続けている。一方では、取り扱う商品の性質上、同業他社のほか、GMSやドラッグストアなどの店舗小売業との競争も激しいが、同社では、「品ぞろえと価格」「物流」「集客」「使いやすさ」を切り口にした取り組みで業容の拡大を目指す。

 ひとつ目のポイントとなる「品ぞろえと価格」のうち、品ぞろえについては、毎年1万アイテム程度のペースで増加を続けており、前期末時点の取扱商品数は約6万8000アイテム。今期は8万アイテム程度にまで拡大させる計画で、新たなカテゴリーとして園芸やアウトドア関連商品の取り扱いも視野に入れる。

 商品展開の上でポイントになるのは価格設定。特に同社が扱う商材は、一般小売店でも購入できるNBの食品や飲料、日用雑貨などが中心。価格競争が激しく、大手店舗小売業のバイイングパワー、ネット販売のオペレーションコストなどを考えると、価格面で差別化を図るのは難しい。

 そこで同社が力を入れようとしているのが、店舗小売業とは焦点をずらした商品の展開。そのひとつが業務用の大容量商品の取り扱いだ。

 例えばスティックタイプのコーヒーの場合、店頭と同じ形態の商品では価格での差別化は難しい。だが、店頭では通常扱わない大容量商品であれば、数量1個あたりの単価で割安感を打ち出すことができ、購入頻度の減少など利便性の向上も図れる。このほかに、ネット販売用にアソートした商品なども拡充していく意向で、「取引先のメーカーやベンダーと深く取り組んでいくことが重要」(小森社長)とする。

 2点目の「物流」では、09年3月に大阪で自社物流センターを開設。取扱商品数の増加にあわせ順次機能を拡張してきた。

 同センターの設置は、売れ筋商品の在庫増強による欠品機会損失の低減などを目的としたものだが、最近では「倉庫作業のオペーレーションがこなれ、アイテムを拡充しても回せるようになった」(同)。このため、取扱商品数の拡充を進める一方、従来、受注発注だった商品の在庫を自社で持つ形を進め、リードタイム短縮を図るなどの取り組みを進める考えだ。

 3点目は「集客」。この部分では、コンスタントに新規顧客が獲得できているが、今期は、既存の顧客基盤の活性化にも注力し、購買履歴などをもとにした顧客ごとの商品提案で、リピート購入の促進を図る考え。

 現状でも、東日本大震災発生後、「初めてネットを利用するという顧客が増えた」(同)など、新規は獲得できている。ただ、「爽快ドラッグ」で商品を購入したと意識している人は少ないというのが同社の認識。このため、細かな商品提案でリピート購入を促し、顧客との関係性を深める考えだ。

 また、4点目の「使いやすさ」で同社が着目しているのはスマートフォン。携帯電話の場合、商品の見やすさや操作性に課題があったが、スマホでは、PCに近い感覚で使用できることから、「買い合わせをされやすい」(同)傾向があるという。スマホについては購入単価の上昇効果も期待できることから、今後対応を強化する考えのようだ。

 昨今、GMSなど有力店舗小売業がネット販売の取り組みを積極化しており、今後、ドラッグストアでもネット販売に本腰を入れてくることも考えられる。その意味では爽快ドラッグにとって、競合相手が増えることになるが、「有力な店舗小売業の参入は、ネット販売市場の拡大につながり、新しい顧客も連れてきてくれる」(小森社長)と前向きな捉え方。今後、市場の拡大に対応したネット専業ならではの差別化策を早期に確立させ、成長路線を維持していく構えだ。

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