キー局各社の次の一手は?④ テレビ朝日 健食で常連客を育成
一元さんから常連さん、関東から全国へ。テレビ朝日グループは今期から通販事業に新機軸を取り入れる。健康食品など継続購入が見込める商材の取り扱いを始め、リピーターの育成に着手。またCM枠や系列局で積極的に通販枠を確保し、販路拡大を進める。こうした動きは今年4月からテレビ朝日本体から子会社のロッピングライフ(旧テレビ朝日リビング)に通販事業を移管したため。販売主を通販事業に特化した専門会社に移管したことでより踏み込んだ通販戦略を展開していくという。
「もともとテレビ朝日の事業計画にはあったが、なかなか着手できなかった"CRM事業"や"(通販番組の)ネット化"を進め、通販を拡大していく」。今期からテレ朝グループの通販を担うことになったロッピングライフの浅地泰裕社長は今後の通販の方向性についてこう話す。
「CRM事業」とはテレビ通販で獲得した顧客リストを使った通販ビジネスを指す。この一環として販売を始めたのが健康食品だ。今年1月から主力枠「ちい散歩くらぶ」で健食メーカーと組み、OEM供給や商品卸を受けて、サプリメントなどの販売開始。さらに今年4月から深夜帯を整理して、早朝枠に週4~5の帯で放送を始めた通販番組「特選いいもの探し」でも健食の販売をスタートした。現状、ニッスイからOEM供給を受け、6月から販売を始めた「活々散歩」など6つの商品を展開している。
健食の販売開始の狙いは前述したCRM事業の布石だ。通販において安定的な収益を上げるには「常連さん」の存在が不可欠。だが、テレビ通販は販売する商材にもよるが、家電や雑貨などの場合、「一元さん」が多い。ロッピングライフは安定した収益を上げるべく、「成功すれば(継続購入が)期待できる分野」(浅地社長)である健食を取り扱い、リピーターを育成したい考えだ。
ただ、健食を販売し始めた1月からの状況は「まだ様子見という状況」(浅地社長)と芳しくない様子だが「正直、時間が掛かると思っている」としており、今後も「ちい散歩」という中高年層に人気の高い番組で露出させ続けるほか、5月には優良顧客を中心に約9万部のダイレクトメールを配布して健食などを紹介しており徐々に浸透させていきたい考えだ。
今後、DMは年4回程度、様々なセグメントの顧客に送付する計画のほか、リピーターの育成策として健食だけでなく、例えば「米の頒布会」など継続購入を促せる食品の取り扱いも検討しているようだ。
リピーターの育成とともに通販事業拡大の施策と考えるが「販路の拡大」だ。前述したDMの強化もその一環だが、メーンは系列のネットワーク局での通販番組の拡大だ。従来から一部の局で始めているが、系列局へ通販番組の販売を推進したり、地方局と連携して同社制作の通販番組を放送するなどで「売り場」を現状のテレビ朝日の放送エリアの関東圏だけではなく、全国に広げたい考えだ。また、系列局だけでなくテレビ朝日内でもレギュラーの通販枠以外に5月からテスト的にCM枠で健食などの商品紹介を実施。様々なやり方で「売り場」の拡大を図っているようだ。
「とにかく様々なことにチャレンジする年にしたい」(同)として、リピーター育成や販路拡大、昨年は苦戦した深夜枠のテコ入れやトレンドに合致した新商材の積極投入など実施。今期の通販業績は前年並みを確保しつつ、再成長に向け、動かせ始めた新通販戦略を進める計画だ。
(つづく)
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「CRM事業」とはテレビ通販で獲得した顧客リストを使った通販ビジネスを指す。この一環として販売を始めたのが健康食品だ。今年1月から主力枠「ちい散歩くらぶ」で健食メーカーと組み、OEM供給や商品卸を受けて、サプリメントなどの販売開始。さらに今年4月から深夜帯を整理して、早朝枠に週4~5の帯で放送を始めた通販番組「特選いいもの探し」でも健食の販売をスタートした。現状、ニッスイからOEM供給を受け、6月から販売を始めた「活々散歩」など6つの商品を展開している。
健食の販売開始の狙いは前述したCRM事業の布石だ。通販において安定的な収益を上げるには「常連さん」の存在が不可欠。だが、テレビ通販は販売する商材にもよるが、家電や雑貨などの場合、「一元さん」が多い。ロッピングライフは安定した収益を上げるべく、「成功すれば(継続購入が)期待できる分野」(浅地社長)である健食を取り扱い、リピーターを育成したい考えだ。
ただ、健食を販売し始めた1月からの状況は「まだ様子見という状況」(浅地社長)と芳しくない様子だが「正直、時間が掛かると思っている」としており、今後も「ちい散歩」という中高年層に人気の高い番組で露出させ続けるほか、5月には優良顧客を中心に約9万部のダイレクトメールを配布して健食などを紹介しており徐々に浸透させていきたい考えだ。
今後、DMは年4回程度、様々なセグメントの顧客に送付する計画のほか、リピーターの育成策として健食だけでなく、例えば「米の頒布会」など継続購入を促せる食品の取り扱いも検討しているようだ。
リピーターの育成とともに通販事業拡大の施策と考えるが「販路の拡大」だ。前述したDMの強化もその一環だが、メーンは系列のネットワーク局での通販番組の拡大だ。従来から一部の局で始めているが、系列局へ通販番組の販売を推進したり、地方局と連携して同社制作の通販番組を放送するなどで「売り場」を現状のテレビ朝日の放送エリアの関東圏だけではなく、全国に広げたい考えだ。また、系列局だけでなくテレビ朝日内でもレギュラーの通販枠以外に5月からテスト的にCM枠で健食などの商品紹介を実施。様々なやり方で「売り場」の拡大を図っているようだ。
「とにかく様々なことにチャレンジする年にしたい」(同)として、リピーター育成や販路拡大、昨年は苦戦した深夜枠のテコ入れやトレンドに合致した新商材の積極投入など実施。今期の通販業績は前年並みを確保しつつ、再成長に向け、動かせ始めた新通販戦略を進める計画だ。
(つづく)