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健食業者は表示を再点検せよ

2010年 3月15日 07:12

消費者庁は3月8日、「平成21年度健康食品インターネット広告実態調査」の結果を発表した。「健康増進法」に基づく健康食品の虚偽・誇大広告の監視業務として、同法が消費者庁に移管される以前に厚生労働省の新開発食品保健対策室が手掛けていたものだ。調査結果を見ると、疾病に関する文言等が消費者を誤認させる恐れのある表示をしていた547商品(320社)を確認し、仮想モール運営事業者等を通じて「改善指導」を行うなど、問題のあるネット販売事業者が少なくないことを印象付ける内容だ。
 
このネット広告調査は、「ガン」「糖尿病」「心臓病」といった疾病名使い検索エンジンで無作為に抽出、その中から「健増法」に抵触する恐れのある表示を行うサイトを目視で探すというものだ。調査方法や不適切な表示を行っていた事業者に対する対応などは特に厚労省時代と大きな違いはないが、消費者庁が結果公表を大々的に行ったというのは、従来と異なる点だろう。

 以前から、健食の広告表示に対する行政の監視の目は厳しく、東京都など47都道府県が「薬事法」違反事例を共有し、モール運営事業者を通じ、同様の表示を行う出店事業者に注意喚起を促すといった取り組みも行われている。「健増法」に基づく消費者庁の健食ネット広告調査自体は、厚労省時代からの流れを汲むもので目新しいわけではない。だが、何かと注目されている同庁の調査結果公表は少なからずインパクトがあるはずで、健食に対する消費者のイメージダウン、あるいは健食の表示ルールの整備等の議論を進める「健康食品の表示に関する検討会」の審議への影響なども懸念されるところだ。

 また、こうした消費者庁の対応変化で、危惧されるのはネット広告の監視や「健増法」の運用強化などだが、この点については既に、同庁では、例年1回だった調査頻度の拡大や、関係省庁と連携した法執行の可能性を示唆している。問題点を指摘されることが多い健食の広告表示は、同庁にとって実績作りの格好の材料とも言え、対応を強化してくるのは必至。健食ネット販売事業者としても、従来以上に広告表示に注意する必要があろう。

 今回の調査では、「コエンザイムQ10は心臓病の治療薬として使われてきた」「この水は糖尿病治療に使われていた」「ところてんはガンの治療効果のみならず、発ガン防止効果がある」など、確信犯とも言えそうな広告表示の事例も報告されている。無論、真っ当な健食通販事業者であれば、このようなリスキーなことはしないだろうが、ネット上で確信犯的な不適切広告表示が横行するような状況が続けば、何れ行政側が規制強化に動き出し、真っ当な事業者の事業活動が制約されることにもなりかねない。これは健食ネット販売事業者だけではなく、販売の場を提供するモール運営事業者などにとっても、対岸の火事では済まされない問題だ。

 行政側の縛りはさらに強くなると予想される。健食ネット販売業者もそうしたリスクを認識し広告表示の再点検等をする必要があろう。

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