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ニュースの断層、改正放送法の省令施行へ、通販事業者への影響はいかに?

2011年 4月 7日 11:03

総務省は3月29日、昨年の国会で成立した放送法改正に伴い、同省が作成し、2月に公表していた「省令案」についての意見募集の結果を公開した。この「省令案」ではテレビ局各局に「放送番組の種別」とそれぞれの「放送時間」の公開を半年ごとに求めたこと。これに伴って、これまで法的にはあいまいだった「通販番組」の定義付けを行ったことが主なポイントとなっており、これらについてテレビ局を中心に、「通販番組の定義付けの再検討」や日本通信販売協会からは「(今回の省令案が)通販番組に対する過剰な規制につながらないよう要望する」などの意見が寄せられたが、結局は総務省側が示した原案通りに施行されることになった。この省令の施行は通販市場、通販事業者にどのような影響を与えるのだろうか。

 今回の省令で通販市場や通販事業者に影響を与えそうなポイントは前述のように大きく2点。

 1つ目は放送法に規定されている「番組調和原則」(各ジャンルの番組をバランスよく放送し調和を保つことを求める規律)を担保すべく、テレビ局に「毎年4月から6カ月の期間ごとに、当該期間における各月の第3週の期間で放送された番組の種別を5つの区分(「教養番組」「教育番組」「報道番組」「娯楽番組」「その他の放送番組」)に分類し、速やかに当該期間の経過後に公表する」と規定したこと。

 もう1つはこれまで法的には、その定義があいまいだった「通信販売番組」を「視聴者に商品またはサービスの内容、販売価格その他の条件を提示し、郵便、電話その他の方法により売買契約の申込みを受けて、当該提示した条件に従って当該商品またはサービスを販売することを目的とする放送番組」と総務省という公の行政組織が初めて明確に定義付けし、その上で「通信販売番組」の放送時間の公表を求めたことだ。

 この結果、テレビ局各局は早速、今年の秋口をメドに自局で放送している番組の内容を教養・教育・報道・娯楽・その他の5つに分けて、それぞれの放送時間を公表。さらに「その他」の番組については「通販番組」と「それ以外の番組」に分け、それについても放送時間の公表が義務付けられることになる。

 これによって何か起こるのか。「当面、大きな影響はないだろう」とある在京テレビ局の担当者は話す。一応、放送法上では総放送量のうち、教育番組を10%、教養番組を20%放送することが放送免許の条件だが、番組内容の区分はそれほど厳密なものではなく、また、他の区分について、それぞれ何%にしなければならないという決まりはない。つまり、番組の区分とそれぞれの放送時間を公表したところで特段、何の変化もない。だから、「通販番組」の放送時間の公表についても、それ自体は別に何かに規制をかけるわけでもなく、どこにも悪影響をもたらすのではないわけだ。

 しかし、この「番組種別ごとの放送時間の公開」と「通販番組の定義付け」は今後、通販市場および通販事業者にとって、じわりじわりと悪い影響を与えることになる可能性があり、注意が必要かも知れない。それはテレビ局自身による「通販枠提供の自主規制」と行政サイドによる「通販番組の総量規制」につながる恐れがあるからだ。
続きは「週刊通販新聞」の1314号5面に掲載、ご購読はこちら


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