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ケンコーコム、本社機能を福岡に移転、計画停電の対応で、事業運営安定化狙う

2011年 4月 7日 10:40

ケンコーコムは、東北地方太平洋沖地震の影響を勘案した社内体制の再編に乗り出した。3月31日に開催した臨時取締役会で、本社機能の大半を九州・福岡に移すとともに、システムをクラウド化することを決議。福島第一原子力発電所の事故の影響により、関東圏では夏場の電力不足が懸念されているが、基幹となる機能の移転・分散化で、安定的に事業が運営できる環境を整備する。

東京の本社については、メーカーやベンダーなどとの商談の必要性などから、営業担当のみを残し、コールセンター機能を含む他の部門を、物流拠点のある九州・福岡に移す。まだ、詳細は決まっていないが、交通のアクセス等がよい福岡市天神周辺で物件を探している状況で、5月から順次、各部門の移転を始める予定だ。

 一方、システムのクラウド化についてはこの4月から9月にかけて、順次移行を進める。現在、同社では自社運用型のシステムを使用しており、業容の拡大に対応したシステムの増強に合わせ、クラウド対応のシステム構築も視野に入れていたが、今回の震災を受け、前倒しして取り組みに着手。リスクヘッジとともに、減価償却費や保守費用の低減効果などのコスト的なメリットも見込む。

 ケンコーコムは今回の震災で、本社設備などには直接的なダメージはなかったが、交通機関の乱れが従業員の出勤に影響。顧客対応に十分な人員の安定的な確保が難しいことなどから、コールセンター機能を一時停止するなど、一部業務に支障も出ている。

 今後、電力の需要期に当たる夏場に計画停電の実施が予定されていることから、安定的な事業運営ができる体制作りが必要と判断。中長期的な成長に向けた社内構造の見直しの意味合いもあり、本社機能の移転とシステムのクラウド化を行うことにした。

 なお、同社は今回の本社機能の移転およびシステム見直しに伴い、今期決算で固定資産除却損を計上する予定だが、金額については「現在、算定中」(管理本部)としている。

 今夏に関東圏で予定される計画停電では、当該地域に拠点を持つ通販企業や物流等のフルフィルメント事業者、商品の供給元のメーカー・ベンダーの業務などへの影響が懸念されており、今後、対応策を講じる通販および関連企業が増えていきそうだ。

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