きちんとした小売目指す今年2月15日、全品送料無料で商品到着後99日間であれば返品できる靴の通販サイト「ロコンド」を本格始動させたジェイド(本社・東京都渋谷区)。コンシェルジュが電話でも靴選びの手助けをするという日本ではまだ新しいビジネスモデルで差別化を図る。3年後に年商1000億円という高い目標を掲げる同社の秋里英寿社長に基本戦略について聞いた。
なぜ靴の通販を始めたのか。
「ネット通販は好きでよく利用するが、サイズがはっきりしていて安心して買えるサイトを使うことが多く、自分でも靴の通販にはハードルがあった。世界のいろいろな事業モデルを研究して、日本には大規模なネットの靴屋がないと思い、工夫次第では成長できると考えた」
日本ではアマゾンが先行している。
「靴の通販市場は小さく、これを大きくしていくことが最優先だ。競合のシェアをとったとしてもパイは小さい。ただ、競合を含め小売企業の商売の工夫は学んでいる」
返品は多そうだ。
「ネットで靴が売れないのはサイズの問題が大きい。家で試着できればいいが、送料をとられたら試着代がかかるのと一緒。そこで送料無料、返品無料にして99日間の返品期間を設定すれば誰でも安心して試せる。納得いくまで何度でも返品して欲しい。一方で、ネットだと在庫を集中管理できるため、少ないサイズや珍しいカラーも含めて幅広く消費者に提供できる。店舗よりも何十倍も大きな品ぞろえが作れるのは強みだ。不利な点は知恵と工夫、コストでカバーし、強みは伸ばす。その観点から送料・返品無料、1万点の品ぞろえに行きついた」
コンシェルジュの存在もカギになる。
「クレジットカードの番号を預けることが不安な消費者もいる。スタッフの顔が見えて、声が聞けてという小売店舗で当たり前に行っている顧客サービスを通販でも提供する。例えば、自身の服装に合った靴を選んでほしいと言われれば、喜んで提案させてもらう。これも実店舗では自然なこと。ネットでは削られてきた部分を残して差別化につなげたい」
本格始動してからの状況は。
「"行ける"という思いは持っている。ネットで靴を定価販売するというビジネスでも、すでに多くの顧客に購入してもらっている。結局のところ、どれだけ返品されてもリピートしてもらえるかが重要。ザッポスは顧客満足度が高く、75%というリピート率に支えられている。これを目指したい。最初のシーズンとしては数十万人くらいに購入してもらいたい」
テレビCMを始めた。
「『ロコンド』での買い物に安心感を持ってもらうことが第一で、CMでは名前を売ることに集中した。日々のトラフィックが10万以上になってきていて、やはりテレビの効果は大きい」
アマゾンが1年間返品OKとした。
「あまり長い期間に設定しても、履かない靴を家に置いておくのは邪魔だ。当社がアマゾンに追随して1年間にすることは意味がないし、そこに労力を使うよりは、別の工夫で顧客満足度を上げたい」
季節感がはっきりしている衣料品を扱う場合の返品ポリシーは。
「今後3年間で衣料品にも分野を広げるが、靴の返品率や返品期間をしっかりと見て設計する必要がある。シーズン性の高い商品と、そうでないものではビジネスモデルは変わってくる。ただ、当社のサイトは前払いなので長く手元に置いておく顧客は少ないと踏んでいる」
原則定価販売だ。
「基本的には定価だが、まったくセールをしないのも現実的ではない。一般的な小売店舗と同じで、シーズン終盤にはセールも行うが、激安チャネルにはならない」
1年後の姿は。
「靴の市場自体が縮小している中で、定価販売するサイトとして卸やメーカーにも認められるサイトを目指す。この先のネット販売市場を考えたときに、ネットでも売りっぱなしでなく、きちんとした小売りとして、顧客満足の高いビジネスモデルを確立したい」
今年2月15日、全品送料無料で商品到着後99日間であれば返品できる靴の通販サイト「ロコンド」を本格始動させたジェイド(本社・東京都渋谷区)。コンシェルジュが電話でも靴選びの手助けをするという日本ではまだ新しいビジネスモデルで差別化を図る。3年後に年商1000億円という高い目標を掲げる同社の秋里英寿社長に基本戦略について聞いた。
なぜ靴の通販を始めたのか。
「ネット通販は好きでよく利用するが、サイズがはっきりしていて安心して買えるサイトを使うことが多く、自分でも靴の通販にはハードルがあった。世界のいろいろな事業モデルを研究して、日本には大規模なネットの靴屋がないと思い、工夫次第では成長できると考えた」
日本ではアマゾンが先行している。
「靴の通販市場は小さく、これを大きくしていくことが最優先だ。競合のシェアをとったとしてもパイは小さい。ただ、競合を含め小売企業の商売の工夫は学んでいる」
返品は多そうだ。
「ネットで靴が売れないのはサイズの問題が大きい。家で試着できればいいが、送料をとられたら試着代がかかるのと一緒。そこで送料無料、返品無料にして99日間の返品期間を設定すれば誰でも安心して試せる。納得いくまで何度でも返品して欲しい。一方で、ネットだと在庫を集中管理できるため、少ないサイズや珍しいカラーも含めて幅広く消費者に提供できる。店舗よりも何十倍も大きな品ぞろえが作れるのは強みだ。不利な点は知恵と工夫、コストでカバーし、強みは伸ばす。その観点から送料・返品無料、1万点の品ぞろえに行きついた」
コンシェルジュの存在もカギになる。
「クレジットカードの番号を預けることが不安な消費者もいる。スタッフの顔が見えて、声が聞けてという小売店舗で当たり前に行っている顧客サービスを通販でも提供する。例えば、自身の服装に合った靴を選んでほしいと言われれば、喜んで提案させてもらう。これも実店舗では自然なこと。ネットでは削られてきた部分を残して差別化につなげたい」
本格始動してからの状況は。
「"行ける"という思いは持っている。ネットで靴を定価販売するというビジネスでも、すでに多くの顧客に購入してもらっている。結局のところ、どれだけ返品されてもリピートしてもらえるかが重要。ザッポスは顧客満足度が高く、75%というリピート率に支えられている。これを目指したい。最初のシーズンとしては数十万人くらいに購入してもらいたい」
テレビCMを始めた。
「『ロコンド』での買い物に安心感を持ってもらうことが第一で、CMでは名前を売ることに集中した。日々のトラフィックが10万以上になってきていて、やはりテレビの効果は大きい」
アマゾンが1年間返品OKとした。
「あまり長い期間に設定しても、履かない靴を家に置いておくのは邪魔だ。当社がアマゾンに追随して1年間にすることは意味がないし、そこに労力を使うよりは、別の工夫で顧客満足度を上げたい」
季節感がはっきりしている衣料品を扱う場合の返品ポリシーは。
「今後3年間で衣料品にも分野を広げるが、靴の返品率や返品期間をしっかりと見て設計する必要がある。シーズン性の高い商品と、そうでないものではビジネスモデルは変わってくる。ただ、当社のサイトは前払いなので長く手元に置いておく顧客は少ないと踏んでいる」
原則定価販売だ。
「基本的には定価だが、まったくセールをしないのも現実的ではない。一般的な小売店舗と同じで、シーズン終盤にはセールも行うが、激安チャネルにはならない」
1年後の姿は。
「靴の市場自体が縮小している中で、定価販売するサイトとして卸やメーカーにも認められるサイトを目指す。この先のネット販売市場を考えたときに、ネットでも売りっぱなしでなく、きちんとした小売りとして、顧客満足の高いビジネスモデルを確立したい」