
化粧品と健康食品の通販を展開するエイチ・アール・ケイ(HRK)の業績が好調に推移している。ラジオ番組のパーソナリティやテレビ番組への出演から"はっちゃん"の愛称で知られる岩本社長の強烈なキャラクターを活かし、今期は社長自らが出演する新CMの展開も開始。前期比にして2・5倍となる150億円の売り上げ目標を掲げ勝負に出ている。成長を支えるHRKの強さはどこにあるのか。岩本社長と中村浩之専務に聞いた。
――通販を始められた経緯は。
岩本社長(以下、岩本)「病気にかかり、薬や体の事を独学で学ぶ中、自分に必要なものを商品化したのが始まりです」
――初めて商品化した商品は。
岩本「女性は体が冷えると便秘が始まり、血液の循環が悪くなるなど病気が近づきます。そう考えた時に保温性の高いストッキングが良いのではないかと思い開発しました。自ら縫製して工場とやり取りし、商品化に数年かかりました」
――なぜこれほど成長をみせるのか、どこに強さがあるのか不思議に感じる部分がある。どのようにしてこれまで顧客基盤を築かれたのか。
岩本「病気をした経験を活かし、自ら健康になれるような取り組みを多くの方に伝え、『世の中の女性を元気にしたい』と思いました。そのために『第二の人生』という本を書き、希望があれば無料で進呈しました。これがくちコミで広がり、本の中で紹介していたストッキングを求められる方がいて自然に顧客が増えていきました」
――すでに300万部配られている。
岩本「今だに老人ホームや病院から"送って下さい"という声を頂きます。商売として始めたわけではありませんが、伝える中で商売につながりました」
――社長自らが出演するラジオ番組を持たれ、テレビ出演や講演活動もしている。ビジネスと深いつながりはあるのか。
岩本「ありません。HRK代表であることや社名を自ら明かすことはありませんし、個人として出ています」
――意識されてはいないが、自然と良い循環になっているのではないか。
中村浩之専務(以下、中村)「顧客が調べれば分かることではありますが、"商品を購入するまで知らなかった"という方も多くいます」
――何が顧客心理を引きつけているのか。
岩本「既存客向け会報誌『感謝』の中で連載している『道しるべ』(社長自らの経験に基づく人生訓などを示すコーナー)の存在も大きいです。連載への感想を手紙で頂きますが手書きで返信しています。機嫌を取るようなことはしたくないし、時には『間違っているよ』と真っ直ぐ伝えることもあります」
中村「これを毎月読みたくて商品を買われる方もいます」
――メディアへの出演や文筆活動を通じて"社長ファン"が多くいると。
中村「多いですね。本を書けば20万部は売れます」
岩本「中には、(メディア出演や文筆活動について)"おかしな会社"と取られる方もいると思います。ただ、『行動を伴っていると見てもらえるよう頑張ろう』と言い続けてやってきました」
――それがコアな顧客層ともなっている。
中村「そうですね」
――会報誌の配布部数は。
岩本「12月に100万部を突破しました」
―今期は売上高150億円を目指している。
岩本「200億円に到達しそうな勢いです」
――利益は。
中村「前期並みの約20%をめざしています」
――12月の月次ベースの売上高は。
中村「約8億円です」
――現状のペースでは、売り上げ目標の達成が難しいが。
中村「昨年末に社長が自ら出演する形の新しいテレビCMを開始しましたが、その反響が大きいこと。また3月以降、出稿を控えていた折り込みチラシの展開エリアを拡大していきます」
――CMのマーケティングコストとして年間、どの程度を見込まれているのか。
中村「20億円を最低ラインとして、後は状況に応じ拡大します」
岩本「ただ、売り上げ拡大を図ることが最大の目的ではないと考えています。儲かる会社はいくつもあると思いますが、果たして本当に顧客の役に立っているのか――。それを見極めることも経営者の役割だと思っています」
――「売り上げの拡大が最大の目的ではない」と言われるが企業が成長し続けるために何が必要と考えているのか。
以下、すべて岩本社長の回答「顧客は(企業の考えを)見抜く目を持っていると感じます。そう考えた時、顧客を見てどれだけ裏表なく商売ができるかが重要だと思います」
――事業の存続には当然、売り上げの維持・拡大を見据えた戦略が必要ではないか。
「これまで明確に売り上げを意識した戦略会議というものはやったことがありませんね。数字を追って計算高く顧客の裏をかこうとするとうまく行きませんし」
――そうは言っても現場では緻密に計算されているのでは。
「社員には常日頃『お客様の事だけ考えなさい』と言っています。その中で提案を受けることはありますが、戦略と言えばそれだけです。こうした考えを"きれい事"と思われる方もおられると思いますが」
――ついそう思いたくなってしまう。
「そこが企業が成長するか否かの別れ道だと思っています。通販は顔が見えない分、余計に顧客と心を通わせることが必要だと感じます。そのために創業時からこだわりを持って作ってきたのが物流センターです」
――というと。
「委託した方がコストは安く済みますし、普通、(特に中堅企業は)物流センターを持つことはしないと思います。ただ、商品が届くまでが自分たちの仕事との自覚を持つため、内製化することはコスト以上に価値があると思います」
――そのほかにこだわりを持たれている部分はあるか。
「顧客を元気にするには、まず社員が健康で豊かでなければならないと考えています。そう考えて、栄養バランスの取れた食事を提供する社員食堂やキッズルーム(託児施設)を無料で開放し、環境づくりを行いました。そのような成果もあって社員同士は非常に仲が良く、職場結婚後、子供を生んだ後も夫婦で働く社員もいます。そうして売り上げとは別の部分に時間を費やしてきました」
――今後の展望についてお聞きしたい。上場を目指されるのか。
「考えていません。上場できるほど信用力のある会社は目指していきたいと考えています」
――通販を始められた経緯は。
岩本社長(以下、岩本)「病気にかかり、薬や体の事を独学で学ぶ中、自分に必要なものを商品化したのが始まりです」
――初めて商品化した商品は。
岩本「女性は体が冷えると便秘が始まり、血液の循環が悪くなるなど病気が近づきます。そう考えた時に保温性の高いストッキングが良いのではないかと思い開発しました。自ら縫製して工場とやり取りし、商品化に数年かかりました」
――なぜこれほど成長をみせるのか、どこに強さがあるのか不思議に感じる部分がある。どのようにしてこれまで顧客基盤を築かれたのか。
岩本「病気をした経験を活かし、自ら健康になれるような取り組みを多くの方に伝え、『世の中の女性を元気にしたい』と思いました。そのために『第二の人生』という本を書き、希望があれば無料で進呈しました。これがくちコミで広がり、本の中で紹介していたストッキングを求められる方がいて自然に顧客が増えていきました」
――すでに300万部配られている。
岩本「今だに老人ホームや病院から"送って下さい"という声を頂きます。商売として始めたわけではありませんが、伝える中で商売につながりました」
――社長自らが出演するラジオ番組を持たれ、テレビ出演や講演活動もしている。ビジネスと深いつながりはあるのか。
岩本「ありません。HRK代表であることや社名を自ら明かすことはありませんし、個人として出ています」
――意識されてはいないが、自然と良い循環になっているのではないか。
中村浩之専務(以下、中村)「顧客が調べれば分かることではありますが、"商品を購入するまで知らなかった"という方も多くいます」
――何が顧客心理を引きつけているのか。
岩本「既存客向け会報誌『感謝』の中で連載している『道しるべ』(社長自らの経験に基づく人生訓などを示すコーナー)の存在も大きいです。連載への感想を手紙で頂きますが手書きで返信しています。機嫌を取るようなことはしたくないし、時には『間違っているよ』と真っ直ぐ伝えることもあります」
中村「これを毎月読みたくて商品を買われる方もいます」
――メディアへの出演や文筆活動を通じて"社長ファン"が多くいると。
中村「多いですね。本を書けば20万部は売れます」
岩本「中には、(メディア出演や文筆活動について)"おかしな会社"と取られる方もいると思います。ただ、『行動を伴っていると見てもらえるよう頑張ろう』と言い続けてやってきました」
――それがコアな顧客層ともなっている。
中村「そうですね」
――会報誌の配布部数は。
岩本「12月に100万部を突破しました」
―今期は売上高150億円を目指している。
岩本「200億円に到達しそうな勢いです」
――利益は。
中村「前期並みの約20%をめざしています」
――12月の月次ベースの売上高は。
中村「約8億円です」
――現状のペースでは、売り上げ目標の達成が難しいが。
中村「昨年末に社長が自ら出演する形の新しいテレビCMを開始しましたが、その反響が大きいこと。また3月以降、出稿を控えていた折り込みチラシの展開エリアを拡大していきます」
――CMのマーケティングコストとして年間、どの程度を見込まれているのか。
中村「20億円を最低ラインとして、後は状況に応じ拡大します」
岩本「ただ、売り上げ拡大を図ることが最大の目的ではないと考えています。儲かる会社はいくつもあると思いますが、果たして本当に顧客の役に立っているのか――。それを見極めることも経営者の役割だと思っています」
――「売り上げの拡大が最大の目的ではない」と言われるが企業が成長し続けるために何が必要と考えているのか。
以下、すべて岩本社長の回答「顧客は(企業の考えを)見抜く目を持っていると感じます。そう考えた時、顧客を見てどれだけ裏表なく商売ができるかが重要だと思います」
――事業の存続には当然、売り上げの維持・拡大を見据えた戦略が必要ではないか。
「これまで明確に売り上げを意識した戦略会議というものはやったことがありませんね。数字を追って計算高く顧客の裏をかこうとするとうまく行きませんし」
――そうは言っても現場では緻密に計算されているのでは。
「社員には常日頃『お客様の事だけ考えなさい』と言っています。その中で提案を受けることはありますが、戦略と言えばそれだけです。こうした考えを"きれい事"と思われる方もおられると思いますが」
――ついそう思いたくなってしまう。
「そこが企業が成長するか否かの別れ道だと思っています。通販は顔が見えない分、余計に顧客と心を通わせることが必要だと感じます。そのために創業時からこだわりを持って作ってきたのが物流センターです」
――というと。
「委託した方がコストは安く済みますし、普通、(特に中堅企業は)物流センターを持つことはしないと思います。ただ、商品が届くまでが自分たちの仕事との自覚を持つため、内製化することはコスト以上に価値があると思います」
――そのほかにこだわりを持たれている部分はあるか。
「顧客を元気にするには、まず社員が健康で豊かでなければならないと考えています。そう考えて、栄養バランスの取れた食事を提供する社員食堂やキッズルーム(託児施設)を無料で開放し、環境づくりを行いました。そのような成果もあって社員同士は非常に仲が良く、職場結婚後、子供を生んだ後も夫婦で働く社員もいます。そうして売り上げとは別の部分に時間を費やしてきました」
――今後の展望についてお聞きしたい。上場を目指されるのか。
「考えていません。上場できるほど信用力のある会社は目指していきたいと考えています」