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高島屋・青木事業部長に聞く――「ネット販売の拡大に本腰」

2011年 2月24日 11:32

2men.jpg 高島屋は、ネット販売のテコ入れを軸に通販事業のV字回復を目指す。2月にはネット専任のバイヤーを配置してネット商材の開拓に本格着手した。一方で、百貨店が培ってきた信用力を基盤に、紙媒体やネット、テレビ、店頭をまたいだ取り組みを強化する方針だ。今年2月、クロスメディア事業部長に就任した青木和宏氏に事業戦略などについて聞いた。(聞き手は本紙記者・神崎郁夫)

 ――46歳で事業部長に就任された。

 「これまで、通販に従事したのは1年足らずで、どっぷりと通販に浸かっていないからこそ新しいマーケット開拓をしていきたい。まずは市場分析をしっかりと行う。前年実績を基にした企画の組み立ては改める」

 ――百貨店通販の課題は。

 「とくにネット販売では、ギフト主体の品ぞろえが百貨店通販の現状だが、中元・歳暮自体が縮小傾向にある中で、いつまでもギフト頼みではいけない。ただ、日々のギフトは百貨店が期待されている部分も大きい。食料品などでは信用力で優位性が発揮できる」

 ――食料品以外では。

 「百貨店店頭が効率化を追求する中で、面積効率の観点からタンスや収納家具、絨毯などは売り場を縮小してきた。そういった商品こそ無店舗販売の出番だ。店頭がそぎ落としてきた商品群を補完する役割もある。一方で、通販がインキュベーション機能を担い、ネットで評判だからリアルでも売り場を構えるという動きがあってもいい」

 ――ネット販売を強化される。

 「例えば店頭商品を購入してもらう場合、来店か外商かが選択肢だったが、これからはネットも活用して顧客に近づいていく。ただし、中元・歳暮など既存のニーズをネットに置き換えるだけでなく、新しい分野を開拓していく必要がある」

 ――新分野の開拓に向けては。

 「2月1日付でネット専任のバイヤーを置いた。店頭MD本部の食料品とリビング部門で活躍していたスタープレイヤーに来てもらった。1人は高島屋全店舗の物産展を仕切るチーフバイヤーで、全国を隅々まで回っている。リアルの物産展では扱えなかった商材の中にはネットなら販売できるものもある」

 ――ネットを軸に通販のテコ入れをされる。

 「従来、店頭商品を中心にネット販売していたが、ネット商材の開発にも力を入れる。本気でネット販売を拡大していく決意の表れだ。昨年12月、役員の前でネットビジネスの拡大を宣言した。これを実現するのにふさわしい人材を要求して来てもらった。できるだけ早くネット販売売り上げをいまの約40億円から100億円にしたい」

 ――カタログ通販は。

 「市場の変化に対応できる体制をつくる。店舗の人員をカタログにも送りこんでいる。今回の人事で画期的なのは、20代半ばの社員4人を含め、店舗から通販に10人以上が異動した。若い人の発想をとりいれていきたい。また、通販では初めて女性のマネージャー3人も加わり、組織は画期的に活性化された」

 ――テレビ通販は。

 「枠の拡大も視野にある。タレントの起用方法や物作りの裏側など、メディア特性を生かした見せ方を工夫する必要がある。テレビは顧客開拓の側面もあり、テレビで獲得した消費者を違うチャネルでも囲い込みたい」

 ――チャネルをまたいだ取り組みを強化される。

 「従来のように、『どのチャネルでいくら売れた』ではなく、例えば、カタログで告知してネットに誘導し、店頭で売れてもいい。チャネル間の連携は強化する」

 ――ネットスーパーについては。

 「店舗型とセンター型の在庫の持ち方など、ビジネスモデルを見極める必要がある。有望な市場の1つとして見ている」

 ――三越伊勢丹や、Jフロントなどは通販部門を別会社化してきている。
 「当社では、店頭との連携を深めることが百貨店通販の生きる道だと考えている。店舗で培った信用力を生かしながら、新しい発想を付加していきたい」
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