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千趣会・中山茂EC開発部長に聞く――"Wiiコマース"の方向性は・第2回

2010年11月30日 16:06

512.jpg前回に続き、「Wiiの間ショッピング」の方向性について、千趣会の中山茂EC事業開発部長に話を聞いた。

 ◆ ◆ ◆  

――「Wiiの間ショッピング」を開発する過程で苦労した点は何か。
 「もともと『Wii』はコマースを想定して作られたハードではないため、システム的な部分で苦労した点はあった。そうした課題は任天堂さんと協力して解消したのだが、過去の成功体験が足かせになった面もある」

――というと。
 「私自身、ECの経験が長いため、任天堂さんと開発を進める過程で、ECの論理を持ち込んでしまう部分があった。そのため、一度考えたものを全て崩し考え直すということの繰り返しだった。今振り返ってみると、実際に私の経験で活きているのは3割程度。後の7割は新しいことへのチャレンジと言っていい」

――任天堂と開発作業を進める中で、技術的な部分だけではなく、「Wii」でコマースを展開する上で参考になったものはあるか。
 「『Wii』の戦略を参考にさせてもらった部分は多い。以前、任天堂さんはゲーマーを相手にビジネスをされていたが、ゲーム人口の減少をきっかけに、それまでゲーム機を購入してこなかった層に楽しめるコンテンツを提供する方針に転換し、『DS』や『Wii』を開発した。その話を聞いた時、任天堂さんがゲーマー以外の人にスポットを当てたのと同様、『Wii』でECをするのであれば、敢えてPCユーザーは外そうと考えた」

――かなり思い切った考え方だ。
 「確かにそうかも知れない。だが、よく考えてみれば、PCユーザーがECをする場合、使い慣れたPCを使うはず。それに、もともとハードの性能が違うため、『Wii』でPCと同じようなことはできない。仮にそれをしようとすると、単なるPCの移植になってしまう」

――具体的に「Wiiの間ショッピング」でターゲットとする層は。
 「家庭の中でまだPCやモバイルを使いこなせていない人、あるいは使うことに不安を感じている人がターゲットになる。そのため、分かりやすく、使いやすいコンテンツにすることを目指した。この部分でシンボリックなものは、電話注文もできるようにしたことだ」

――「Wiiの間ショッピング」は、仮想モール的な展開になるが、取り扱う商品や出店企業の選定についてはどうか。
 「任天堂さんは、ゲームソフトなどを扱ってきたことから、当社よりも子供さんに対する意識が高く、安全、モラルといったことを非常に重視されている。商品や出店企業に対する考え方も、特定のカテゴリーに偏らない、あるいは探しやすい、安心してお勧めできるといったことが基本だ」

 「また、ECでは、ある程度自己責任の世界だが、任天堂さんでは『Wii』自体が責任のあるメディアという意識を持っており、『Wiiの間ショッピング』についても、任天堂さんとWiiの間さん、当社のセレクトショップという意識が強い。出店の問い合わせ窓口はWiiの間さんになるが、既に出店を予定されている三越伊勢丹ホールディングスさんのように、ブランドや商品の信頼感がある企業に出店してもらう形になるのではないかと思う」

(つづく)
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