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今回が4回目となる同白書は、日本百貨店協会の「百貨店eビジネス部会」会員企業24社(のれんベース)にアンケート調査を行い全社から回答を得た。
昨年、百貨店業界全体の売り上げは、既存店ベースで前年比10・1%減と過去に例を見ない落ち込みとなり、百貨店の不調を強く印象付けた。
一方、百貨店のウェブ活用については、従来は店頭イベントなどの"情報発信ツール"の側面が強かったが、昨年に発表された前回調査からは、ウェブ活用を"通販目的"とする企業が顕在化し、ネット販売売上高も前年から大きく伸びた。
今回の調査でも、ウェブ活用の重点分野を「商品・サービスの販売チャネルとして拡充させる」が全体の84%を占め、情報提供という位置づけから完全に移行している。
しかし、09年のネット販売売上高は前年比4・2%増と小幅な成長にとどまり、依然として百貨店総売上の1%にも達していないのが現状だ。
ネット販売が大きく伸びていない理由として、白書からは各社の基本的な戦略の欠如が浮かび上がっている。
例えば、「eビジネスの全社戦略上の課題」(複数回答)について聞いたところ、「全社的な戦略が明確になっていない」が前回の42%から63%に増えたほか、「世の中の状況を踏まえた戦略になっていない」も25%から50%に拡大。また、「経営層の関心が低い」が29%を占めるなど、事業拡大への前提条件すら整っていない企業が目立つ。
また、「eビジネスへの積極性」については、「積極的に拡大を図る」が54%と過半を占めたものの、「方向性の見極め段階で、現状維持もしくは微増を見込む」が21%、「ある程度の拡大は見込んでいるが積極的とはいえない」が17%、「現状維持」が8%と、積極的な拡大に慎重なケースもみられる結果となった。
各社に取り組み状況の違いはあるが、白書では組織面の整備を前提に、ネット販売選任バイヤーの設置や、関係部署との連携強化の必要性などを指摘している。
また、世の中の市場全体の状況を踏まえて、受注処理の円滑化などネット販売のシステムの改善や強化、モバイルも含めたマルチデバイスへの対応、配送リードタイムの短縮や送料体系の見直しなどの物流強化などが不可欠としている。
(つづく)