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在京キー局5社の上期通販業績 グランマルシェ編――V字回復達成、そのわけは

2010年11月18日 12:13

 「前年上期が悪すぎたからね...。それから比べると今上期は好調でした」。今上期(4~9月)の総売上高が前年同期比で約2・5割増の67億円と"V字回復"を果たしたグランマルシェ。ラジオ通販やカタログ通販など各チャネル別の売上高も概ね前年上期を上回って推移したが、やはり、復活の原動力となったのは主力販路であるテレビ通販に復活にある。

 振り返ってみると前年上期は度重なる番組改編で放送時間帯、出演者、番組タイトルなどが主力の午前枠および午後枠とも都度、変更され、視聴者が定着しない状況が続いた。加えて当時、TBSの深夜に放送されていた世界陸上の影響で深夜枠も激減。その結果、減収となったのはもちろん、ほぼ創業以来となると思われるが、昨年8月度は単月ベースではあるものの赤字になるという事態に陥ったほどだった。

 そうした通販枠の変動も前年下期からは安定し、今上期には各通販枠に視聴者が定着。特番やミニ特番などの新たな「売り場」も増えた結果、テレビ通販売上高は前年上期の約30億円から約41億円と大幅に伸びた。

 視聴者に定着した朝の人気情報番組「はなまるマーケット」の終わりに放送される平日午前の主力枠「買いテキ!通販ツウ」を中心に平日午後枠「買っトク!」、土曜昼の情報番組「王様のブランチ」内の通販コーナー「ブランチショッピング」といったレギュラー枠が好調。深夜枠「買物大図鑑」も前年上期のような休止はなかったようだ。

 これに加えて、1時間の通販特番が前年上期は7月の1本だったのに対して、今上期は5月と7月の2回実施できた。また、番組編成の事情で平日の午後などに急遽、"空いた枠"にグランマルシェが対応。午前枠「買いテキ!」で売れ筋の商品集めて映像を再編集。司会者のタレントが「今売れている商品を見に行くバスツアー」という演出を入れた1時間の"ミニ通販特番"も5月と9月の2回実施した。ミニ特番は通常の通販特番のように1回で数億円の売り上げを稼ぎ出すことは難しいが、それでも一回の放送で数千万円は売り上げた模様だ。特番のほか、5月から金曜午後の情報番組「金曜プリティ」内に15程度の通販コーナー「お取り寄せプリティ」が新設された(9月いっぱいで終了)。

 レギュラー枠や特番で昨年からの売れ筋商品である真珠やダイヤモンドなどのジュエリーや羽毛布団、脱毛器、ポータブルカーナビなどが好調に推移。また、変わったところではDVD付き運動ベルト「楽体(らくだ)」などが順調に売れた。

 通販枠以外の「売り場」も増えた。今年4月に放送されたTBSの高視聴率番組「オールスター感謝祭」に連動して食品の通販を実施。番組内の休憩タイムに出演者に出される食事にすき焼きとマグロの漬け丼を提供。使用した松坂牛の切り落とし肉とマグロを、番組内に受注用のフリーダイヤルを表示して、同社で販売。なお、10月の「感謝祭」でもいくらの醤油漬けと宮崎牛をそれぞれ、どんぶりや、すき焼きにして提供。番組内で東国原宮崎県知事が「宮崎牛」を勧めるなどの演出で売れ行きも良かったよう。

 下期から通販枠自体は先の金曜の「お取り寄せプリティ」はなくなるものの、レギュラー枠が堅調なこと。また例年、行う11月と2月の通販特番のほか、上期にあった「買いテキ!」の拡大版であるミニ特番なども数本、放映される可能性があり、少なくとも通期で昨年実績を上回る予定。ただ、今春からこれからの通販戦略を支えるベースの仕組みとして、約10億円を投入し導入した新システムの稼動状況が安定せず、手直しをしながら修正している状況で当初計画の通りの安定稼動には今年度いっぱいかかる見通しで、通期総売上高は期初予想通り131億円、テレビ通販売上高は73億円とかたい見込みとしている。
(つづく)

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