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ケンコーコム、リテール事業が初の減収

2010年11月18日 12:10

 ケンコーコムの2011年3月期第2四半期連結業績は、売上高が前年同期比0・9%減の63億5600万円、営業損失8600万円(前年同期は1億2800万円の利益)と減収減益だった。今中間期は、主力のリテール事業(健康関連商品ネット販売)が苦戦し、同事業の売上高は、前年同期比1・8%減の56億6400万円と、半期ベースで初の減収。主因は、取扱商品数の減少や価格競争の激化だ。

 リテール事業の伸び悩みには、折からの消費低迷や前年のパンデミックス特需の反動減などもあるが、最も影響が大きかったと言えるのは、取扱商品数の減少。今中間期末時点の取扱商品数は11万8865品目で、前年同期比2万2499品目の減少となっている。

 この背景にあるのは、昨年11月から始めたサイト掲載商品の情報管理料の徴収。徴収する金額は僅かで、売れ筋商品では影響がないレベルだが、回転が鈍い商品の場合、相対的に負担が大きくなり、離脱する取引先もあった。このため取扱商品数が減少したわけだ。

 これに対し同社でも、新規商品の取り扱い拡大を推進。だが、当初は、社内的な体制の問題などから、新たな掲載条件による商談が進まなかったため、商品数を思うように伸ばせなかった面もあるという。
 これまでロングテールを基本戦略に据え、取扱商品数の拡大を成長のドライバーとしてきたが、今中間期においては、このスキームが上手く機能しなかったわけだ。

 また、ケンコーコムでは、ネット販売事業者の間で活発化している、送料無料等の特典を通じた実質的な価格競争も影響したと指摘する。

 実際、昨年頃から楽天ブックスやアマゾンが送料無料の取り組みを積極化しており、この流れがネット販売事業者の間で拡大。ケンコーコムが今年9月下旬から行っている送料無料の税込購入金額を通常3990円から2800円にするキャンペーンでも、すぐに競合ネット販売事業者が送料無料の購入金額ラインを2480円に引き下げ。ケンコーコムでも急きょキャンペーンの送料無料ラインを同水準に引き下げるなど、競争が激しくなっている状況だ。

 上期の苦戦を受け、ケンコーコムは下期に競争力を立て直し、来期以降、再度利益体質の強化を図る考え。主力のリテール事業については、送料無料購入金額ラインの引き下げキャンペーンによる拡販とともに、成長のドライバーである取扱商品数を今期中に14万品目にまで戻し、基盤を整える。通期の連結業績予想は、売上高135億6000万円、営業損失2億円を見込むが、今後、リテール事業が月商11億円を維持(9月は約9億円)できれば、来期以降、黒字に転換すると見る。

 シンガポール子会社を通じた海外向けネット販売、医師や医療機関向けの海外承認医薬品の個人輸入事業、さらに中国での小売および卸事業の展開(計画)など、業容拡大に向け先行投資がかさむケンコーコム。今上期は、ドロップシップ事業や取引先商品のプロモーション等を行うメディア事業は増収を果たしたが、リテール事業の不振を補完しきれるまでの規模には達していない。屋台骨であるリテール事業の復活は、今後の事業展開の行方を左右することにもなる。
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