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背景には、健増法の使いにくさがある。現行の健増法は、地方自治体や保健所、国が改善指導を行い、これに従わない場合、国が「勧告」「命令」「罰則」などの措置をとる仕組み。自治体や保健所に処分権限はなく、違法表示の証明責任も行政サイドが負うことになる。このため、指導実績だけが蓄積され、表沙汰になるケースは稀だ。
加えて、執行を担う食品表示課では現在、健増法の専任スタッフがわずか1人。来年度に4人の定員要求を行っているものの、見通しは不透明といえる。このため、健増法単独による執行強化が困難と判断した。
一方、景表法は地方自治体と国が共に排除命令などの処分権限を持ち、事業者に合理的根拠を示す資料の提出を求めることができる。このため、食品表示課や保健所が悪質な表示を探知し表示対策課に情報を提供。最終的に景表法によって対処するのが効果的と判断した。その際、事業者が示す科学的根拠の検証においては、国立健康・栄養研究所など研究機関とネットワークを持ち、厚労省出身のスタッフを擁する食品表示課が後方支援する。
また、薬事法を所管する厚生労働省へ違法表示に関する情報提供を行うルールも定め、連携体制を構築する。
これまで年1回実施していたネット上の広告表示の監視についても年間を通じて継続的に実施。3カ月スパンで年4回行い、悪質な事例を公表していく。ここで得た知見は、来年度以降に予定する健食表示の広告ガイドライン策定に活かす。
一方、特定保健用食品(トクホ)制度については、検討会で①表示許可手続きの透明化、②許可後に生じた科学的知見の収集、③保健機能を適切に伝える表示・広告の方法が、消費者庁が早急に対応すべき課題となっていた。
①についてはすでに着手。「(被験者の人数など)過去の審査過程の中で判断の基準となっていた"相場"を見極め、年度内に統一した試験デザインの枠組み提示をめざす」(同)という。審査情報の公表の範囲の統一についても公表情報が最も多い食品安全委員会を基準とし、審査に関わる消費者庁、消費者委員会の3者で協議する。
②では年数回、事業者に報告義務を科す方針。③については、年度内にトクホ表示に関わる広告ガイドラインの公表をめざす。
規格基準型トクホの拡充については「中長期的課題」(同)として当面は難しいと判断した。