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一時期、ネットストアのトップページに会社の事業案内などを入れていたことがあった。ポータルサイトと通販サイトとの区別がつかず、買い物客から分かりづらいとの指摘を受けたという。そのため、ネットストアの「店」としての役割をはっきりさせるため昨年、ポータルサイトとはページを切り分けた。
現在のトップページは、商品カテゴリー一覧や新商品情報、商品検索など買い物に関わるものだけを掲載している。「商品一覧も細分化して当初の倍ぐらいまで増やした。実店舗と同じように食品と食器を並べるなど商品にたどり着きやすいように配置も見直している」(同)とする。
ネットで先行予約販売実施
同社ではネットだけで買い物を完結させる会員はそれほど多くは無いと考えている。過去に行った、ネットストア利用者への電話聞き取り調査でも「ネットを見てから店に行く」「忙しい時は、店で見たことのある商品をネットで買う」という回答を多く得たこともあった。そのため、ネットと実店舗とが連携するような仕組みを常に念頭に置いて取り組んでいる。
実店舗で展開するネットストア会員獲得キャンペーンなどはその際たるものだが、他にも、同社で3年ほど前から採用している衣料品の「ネット先行予約販売」がこれにあたる。
同企画は当初、衣料品のチームが季節商品の出荷計画数を出すために、市場動向を把握したいということから立ち上がった。
昨年は冬物コートを対象に、真夏にネットで予約販売を実施。すると、消費者の反応が意外によく、クリック数によって人気の色柄がはっきりと予測できるまで集計できた。その結果、生産計画を見直して追加生産発注し、実店舗、ネットともに冬場の販売に備えることができたという。
「物販」が主目的のネット販売に「テストマーケット」という役割を加え「宣伝販促」も実践させる。それが最終的に、実店舗とネットの互いの顧客をフォローする連携体制を生みだすという仕組みだ。
有店舗小売業にとって、ネット販売の売り上げが伸長することは、必ずしも「是」とはならない場合もある。しかし、通販に参入しておきながら、実店舗の売り上げを守るために、ネット販売のコンテンツを塩漬けにしてしまうようなことがあっては非常にもったいない。
補完関係を生み出す仕組み作りには、コストも時間もかかるが、いったんその形ができてしまえば、連携できる取り組みの幅は広がる。
同社のように、モバイルも含めてその連携の輪を形成することで、多チャンネルから消費者にアプローチすることができる。そしてはじめて、顧客が持つ限られた時間を購買活動へと向かわせることが可能となるのではないだろうか。
(おわり)