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 「試して買いたい」ニーズを実現 注目各社の試着サービスの効果は?

2018年11月29日 13:18

 「試着してから買いたい」。従来、通販では難しかった顧客からの要望を踏まえ試着サービス実施に乗り出した通販実施企業が増えつつある。無論、以前から商品の無料返品を受け付ける通販事業者は少なくなかったが、初めから”返品を前提”としたサービスとして展開する事業者が増えており、利用者の使い勝手も格段に向上し、また展開する事業者側でも新規顧客獲得などで実効を上げているところも出始めているよう。注目の試着サービスとその効果についてみていく。





試着後、不用品は無料で返品OK

 アマゾンジャパンは10月25日から、気になる衣料品などを自宅などに取り寄せて試着してから購入できるサービス「prime wardrobe(プライム・ワードローブ)」を開始した。実際に試してから購入できる仕組みを提供することで既存客の購入の促進やサイズの問題で購入に至らなかった潜在客を掘り起こし、新客獲得を狙う考えのようだ。
 
 同サービスは米アマゾンではすでに今年6月から開始している年会費を徴収する有料会員「Amazonプライム会員」向けに展開するサービスで、同社の通販サイト内で販売する衣料品や靴、バッグ、腕時計、ジュエリーなどのうち、「マーケットプレイス」を利用して外部の出店者がアマゾンで販売する商品以外のアマゾンによる直販商品の中から、該当する商品の詳細ページに「prime wardrobe」というロゴが表示されている数十万点(スタート時点)の商品を対象に、3点以上8点までの商品をまとめて取り寄せることができ、試着などして検討した上で購入したい商品のみ手元に残し、不要な商品を返送する流れ。なお、1回の試着が完結するまで次の試着商品の取り寄せはできない。また、1回の取り寄せでサイズや色が同じ商品を複数注文することはできない。

 不要な商品を返送する際は、顧客には商品の配送時に使用した再閉可能な箱に商品を入れてもらい、同梱したアマゾンの配送センター宛の着払い伝票を使用してもらうという。返却期間は商品の配送が完了した翌日から7日以内で、該期間終了日の翌日に返送しなかった商品の代金を請求する仕組み。なお、返却期間を経過しても、アマゾンで販売するファッションアイテムなどでは購入後、最長30日間は返品可能としているため、返品自体はできるという。

 取り寄せた商品は1つも購入せずにすべて返品してもよい。ただ、返送の際は商品タグを付けた状態でなければならず、また、試着では発生し得ないような消耗やしわや汚れ、傷などのダメージがあるもの。また、香水やたばこの匂い、ファンデーションなどの化粧汚れが付着したものなど同社の従来からの返品の規定に合致しない商品は返送できないようだ。

 なお、「プライム・ワードローブ」開始後の利用率や反響については「実数は申し上げられないが、非常に順調に推移している。かなり反響がよく、自然にSNS上でくちコミが起こったり、お客様の声としては好評といっていい。手ごたえを感じている」(同社)としている。

 アマゾンジャパンでは伸びシロがありながらも日本ではまだゾゾなどの競合に後れを取るファッションECの強化に注力しており、今回の試着サービスのスタートでさらに同分野のシェア拡大を狙いたい考えのようだ。
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