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アスカの事業展開の1つの特徴といえるのは、南部社長自らのキャラクターだろう。会員に送られるカタログや折り込みチラシには「南部のイチ押し」「南部の一言」といった形で随所に社長自らの言葉が紹介され、商品の開発秘話から化学合成物質の危険性、経営理念を語っている。"石油会社に勤めた経験から石油製品の有害性を研究した"とする社長の本領発揮というわけだ。
複数の著書を執筆していることや、オーナー社長であることを踏まえても、南部社長自ら広告塔となり、そのキャラクターがアスカの販売戦略に深く影響を与えているといえるだろう。では、そのキャラクターとは、いったいどのようなものなのか。これを探る手がかりとなる例を紹介したい。
「慎んでお詫び申し上げます」。昨年12月に起きたアスカによるJAS法違反事件直後、会員向けに配布したカタログに掲載された一文だ。表情豊かないつものカタログとは一転、殊勝な面持ちで社長自らカタログ誌面に登場している。
ここで南部社長はJAS法違反を振り返り、違反商品について、「日頃より商品に関する全ての情報公開を心がけ、お客さまに嘘偽りのないよう、製造委託先、製造元に対して十分な確認を行ってまいりましたが、(略)正しい情報を把握しきれず適正な表示ができないまま商品の発売になってしまったことが、今回の大まかな経緯です」と、会員に事の顛末を説明。さらに、「有機JAS法への認識の甘さ、また製造元に対する管理不行き届きにほかなりません」と、陳謝している。
今回のJAS法違反で不適正表示を受けた商品は25品目。延べ約26万人に40万点、17億円分販売され、「健食では過去最大規模の偽装」「ウソ表示」などと一般紙に報道された。食への信頼を揺るがしたその社会的な影響を考えれば陳謝も当然だろう。
一方で、「まさか、自らの会社で間違いが起こるとは思いも寄らなかったというのが正直な気持ち」と心情を吐露。今後の方針として「アスカは逃げも隠れも致しません(略)これまで通り代表である私が顔をさらけ出すことで、責任の所在を明らかにしてまいります」「今後は一層、お客さまと真摯に向き合い(略)身を粉にして邁進いたします」と、これでもかというくらいに顧客と真摯に向き合おうとする姿勢を表現している。
だが、こうした南部社長の言葉に、ある取引事業者は首をかしげる。違反直後、取引事業者を集めて行われた説明会では、全く別の説明がなされていたというのだ。
顧客に語られることのない南部社長の発言とは、いったいどのようなものだったのか。 (つづく)