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消費者庁 トクホ運用見直し、製品分析や知見の報告を義務化

2016年12月16日 10:25

 消費者委員会が4月に行った建議を受け、消費者庁は特定保健用食品(トクホ)制度の運用を変えていく。企業に求められる対応として新たな科学的知見を得た際の報告義務や、定期的な製品分析など3つの義務が新たに加わる。12月6日に行われた消費者委の会合で、消費者庁が報告した。ただ、消費者委は、「今回の(消費者庁からの)説明だけでは(制度の運用で)疑問が拭えない面が残っている」(河上正二委員長)としており、今後も継続してトクホ制度の問題について議論していく考えを示している。

 建議は、健康食品の表示・広告を巡る問題やトクホ制度の運用の見直しを求めたもの。今年10月までに「早急な対応」を求めていたものと、「検討」を求めていたものなど全22項目に渡る。会合ではこのうち10項目の進捗に状況について消費者委から注文がついた。

 建議を受けて新たに加わる企業側の義務は3つ。消費者庁では、日本サプリメントのトクホ問題を受け、今後、次長通知を改正して企業に第三者機関におけるトクホ製品の定期的な分析を求めていく。

 トクホの安全性や効果について新たな科学的知見を得た場合の報告義務も課す。現状も新たな知見を得た際に30日以内の報告は求めていたが、義務として明記されていなかった。「再審査制」の実効性を確保する目的で見直すもの。トクホの許可に関する内閣府令の改正で対応する。消費者庁は12月5日、トクホの許可に関する内閣府令の一部改正に向けたパブリックコメントの募集を始めている。

 トクホの製品情報の公開も義務化する方針で検討していく。これまでトクホの許可の際、国立健康・栄養研究所(国立栄研)が任意で安全性や効果に関する科学的根拠の提出を企業に依頼していたもの。建議では、国立栄研が自主運営するトクホの製品情報データベースの運用強化も求められており、今後、消費者庁が対応する。

 一方、消費者庁もトクホ制度の運用を見直す。

 日本サプリメントのトクホは、許可時の関与成分量が規格通り含まれていなかったことなどが問題だった。これを受け、消費者庁は来年度に予定していたトクホの買上調査を今年度に前倒して実施する。企業による分析試験の時期が古い品目や、第三者機関ではなく自社分析で行われた品目を中心に調査する。販売の有無に関する年1回の定期的な調査も実施。その結果を許可品目を一覧できるデータベースでも公開していく。

 国立栄研のデータベース強化に向け、来年度に消費者の求める情報や企業側の知的財産に対する配慮など情報公開の範囲を定めるための調査も行う。結果を受けて情報公開の範囲について検討する。

 データベースの運営強化に向け、消費者委は消費者向けに科学的根拠を分かりやすく解説するような情報や、トクホの関与成分と医薬品等との相互作用に関する情報、被害情報を関与成分ごとに閲覧できるような検索機能の強化を求めている。また、現在、国立栄研によって自主運営されているデータベースについて、運営費用を担保するような対策も求めている。

 ほかに消費者委では、条件付きトクホの必要性の検討なども求めている。消費者庁ではトクホの情報公開の範囲の検討に向け来年度に行う調査を踏まえ、これについても検討する。

 健康増進法への「不実証広告規制」の導入など法改正を求める意見も出たが「(景品表示法との)一体的な運用で適切に執行されている。立法化も法制上困難」(消費者庁)として否定的な見解を示した。
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