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製紙大手5社の2010年3月期第1四半期(4―6月)の業績が出そろった。景気低迷の影響による需要減が響き、全社で減収となったものの、原燃料価格の下落や昨年の値上げ効果、生産設備の停止などにより、営業赤字となった三菱製紙を除く4社は営業増益となっている。製紙大手では、4月に印刷用紙の3%値下げを実施しているが、需要が底打ちしたとは言えないことや、重油や古紙などの価格が上昇傾向にあることなど、不透明感が漂うことから、価格維持に努める方針だ。
北越製紙を除き、売上高は各社とも2桁の減収となった。最大手の王子製紙では、前年同期比16.5%減の2,805億円と大幅な減収になっている。
製紙大手では、原燃料価格の高騰を受けて、昨年夏に印刷用紙の15%値上げを実施。ただ、昨年秋以降の景気の急速な悪化をふまえて、通販企業をはじめ、各企業が宣伝費を削り、カタログやチラシなどを大きく減らしたことが響いた。
その一方で、利益面では各社とも改善。これは、原燃料価格が予想以上に下がったことや、減産を受けた設備停止や人件費削減などのコスト削減効果によるもので、主力工場の定期修理があった三菱製紙を除き、大幅増益となっている。
製紙大手では、原燃料価格の下落や、減産による在庫の適正水準回復などもあり、需要家からの値下げ要求を受け入れて今年4月に印刷用紙の3%値下げを実施。ただ、需要の大幅な回復は見られなかったようだ。
背景には、安価な輸入紙を活用する企業が増えていることがある。日本製紙連合会が発表した6月の需給速報によると、情報用紙の輸入量は10万6,000トンで、前年同期比109.9%増。通販企業にもこうした動きは広がっており、例えばムトウでは「今後も輸入紙の割合を増やすことでコスト削減につなげたい」(経営企画部)としている。
ただ、印刷用紙のさらなる値下げは望み薄だ。王子製紙では、重油や古紙の価格が上昇していることや、需要の底打ち感がないことなどを理由に、通期業績の上方修正を見送った。また、7月からは再び大幅な減産も実施している。
製紙大手では、減産により価格維持に努める考えだが、通販企業にとっては、わずか3%の値下げでは一昨年から続く値上げのコスト増をまったく吸収することができない。輸入紙の採用を進める企業が増える中、需要の回復を狙った値下げはあるのか。今後もせめぎあいが続きそうだ。