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医薬品通販有識者会議  3月下旬に報告書公表へ、販売責任言及も

2012年 3月15日 09:53

 日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)が独自に設ける医薬品通販・ネット販売の制度検討会「医薬品の安全で円滑な提供方法を考える有識者会議」(有識者会議)が、報告書案の作成作業を進めている。現状、詳細は不明だが、都道府県をまたいだ自治体の医薬品販売事業者の監視体制や法的ルールの遵守に向けた業界団体のあり方のほか、仮想モール運営事業者の責任についても言及するようだ。

 有識者会議では、電話を主な受注手段とする漢方薬と伝統薬、ネット販売を中心とした販売方法のあり方を検討。漢方薬および伝統薬の業界団体のほか、医薬品ネット販売を行うドラッグストアや日本通信販売協会にヒアリングを行っている。

 これまでの議論で委員の間では、それぞれの販売方法の必要性を認める一方、相応の法的な規制が必要との見方でほぼ一致。情報提供や相談応需、販売記録の保存、購入量の制限などのルールについて意見が出されていた。一方で、各販売方法の捉え方には温度差があるもようで、漢方薬と伝統薬は過去の実績や販売の責任が特定しやすいこと、顧客対応が電話であることなどから好意的に受け取られている半面、新興の販売手法となるネット販売については作業が難航。仮想モール運営事業者と出店事業者の販売責任の関係、ネット販売を行う事業者の店舗の所在確認や運営実態の把握などの問題に対する関心が高かったようだ。

 有識者会議の事務局を努めるJACDSによると、現在作成している報告書案は、検討過程で浮上した課題とそれに対応したルールの方向性を示す内容で、具体的な規制方法には言及しない見込みだという。

 今後、委員の確認作業などがあるため、最終的な内容は流動的だが、法的なルールの整備と業界団体の役割自や治体による越境監視体制などに言及するもよう。特に医薬品ネット販売では、法的なルール整備とそれを徹底するための業界団体の指導体制が不可欠との見方のようだ。

 また、仮想モール運営事業者の販売責任の問題についても報告書で触れることを示唆。ただ、仮想モール運営事業者が許可を取得して医薬品を販売しているわけではなく、何らかの規制をかけるには「『薬事法』とは別のルールが必要になる」(JACDSの宗像守事務総長)ため、補足的な記載にとどめる考えのようだ。

 有識者会議の報告書は、3月26日の週中に公表を予定。厚生労働省や薬業団体、行政刷新会議などにも提示するという。

 JACDSでは、ケンコーコムとの行政訴訟を抱える厚労省が、医薬品通販・ネット販売の制度整備に向けた検討会を設けにくいと判断し、独自に有識者会議を設置。今回の報告書公表について、JACDSの宗像事務総長は「絶妙のタイミング」と胸を張る。

 理由のひとつは、来年5月末に期限切れとなる経過措置との兼ね合い。JACDSでは、医薬品通販・ネット販売の制度作りをするにしても最低1年はかかると見ており、3月中に報告書を公表すればそれに間に合う。また、厚労省に対しても、控訴審判決が出る(4月26日)前に提示された"たたき台"をもとに制度整備の検討を始めたという体裁ができれば、裁判の結果にかかわらず、作業が進めやすくなる。したたかな計算の下、医薬品通販・ネット販売の制度整備は、JACDS主導で進められつつあるようだ。


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