エヌ・ティ・ティ・ドコモは1月30日、食品宅配大手のらでぃっしゅぼーやを買収すると発表した。株式公開買い付け(TOB)を実施し、完全子会社化を目指す。その上で、らでぃっしゅ株式の最大20%分をローソンに譲渡する資本業務提携を締結、3社が連携して野菜の通販を拡大させる狙い。ドコモは伸び率が鈍化する本業の通信ビジネス以外の新たな収益源獲得を進めており、テレビ通販大手を買収するなどすでに通販にも事業領域を広げているが、食品宅配事業は生産量のバランスなどから急激な業容拡大が難しく、「難しく旨みもさほどない事業になぜドコモが手を出したのか」との声も業界筋からは挙がっている。今後の行方が注視されそうだ。(画像はドコモが買収したらでぃっしゅぼーやのサイト)
ドコモは1月31日から3月12日にかけて、TOBを実施し、完全子会社化を視野にらでぃっしゅぼーやの発行済株式と新株予約権を合わせて51・0%(370万6600株)以上の取得を目指す。全株式を取得した場合の買収総額は約69億円となる見込み。子会社化後は、数人の役員を派遣する予定だが、らでぃっしゅぼーやの現経営陣は変更しない意向。
ドコモは成長戦略として、本業である通信事業の周辺領域に事業を拡大させており、外食大手との共同出資会社設立や気象情報配信会社との資本業務提携などを行ってきた。通販でも09年にテレビ通販大手のオークローンマーケティングを買収している。今回のらでぃっしゅぼーやの買収もその一環だとしている。
らでぃっしゅぼーやの買収後は、同社の事業拡大を進める意向。具体的にはドコモが持つ約6000万人の顧客をらでぃっしゅぼーやの宅配事業に送客。携帯電話の請求書を通じた紹介やドコモの独自ポイントを活用した販促、スマホ向けのポータルサイトでの告知などの実施を検討する。
また、ドコモのノウハウを活用して、らでぃっしゅぼーやのモバイル通販を強化。アプリの開発などを視野に、これまで未対応だったスマホやタブレット端末での注文に対応させる。加えて、宅配の申込みをペーパーレスで行えるようにするなど手続きを簡略化して高齢者などの新規客を開拓。さらにタブレット端末などを活用し、生産者が申告する生産履歴などの情報をリアルタイムで収集することも検討するようだ。
また、本業の通信事業とのシナジーにも期待する。らでぃっしゅぼーやの既存客約11万人に対して、ドコモ端末利用を推進する。利用頻度の高い日常食品の販売でパケット定額制に誘導し、「全体の底上げにつなげたい」(ドコモ)など、利用頻度の高い食品の取り扱いを開始し、パケット通信料金の収入拡大につなげたい考え。
さらにドコモは1月30日にローソンとの提携についても発表。ドコモは子会社化後のらでぃっしゅぼーや株式の最大20%をローソンに譲渡、3社で業務提携を行なうもの。なお、ローソンは、らでぃっしゅぼーやに代表権を持つ副社長を1人派遣する予定。
ローソンは食品の製造小売を強化したい狙いで、これまでも、らでぃっしゅぼーやと食品のネット販売を行う合弁会社の「らでぃっしゅローソンスーパーマーケット」を展開してきた。業務資本提携を通じて、らでぃっしゅぼーやのノウハウを共有化することで有機野菜などの商品調達力の向上を目指す。
今後、らでぃっしゅぼーやの商品をローソン店頭で販売することなども予定し、ローソンの持つ物流機能を共同活用し効率化する。また、ローソンはドコモと連携しスマホやタブレット端末を店頭の販促に利用する考え。
通信とコンビニの大手がタッグを組んだ今回の買収および業務提携は注目されるところだが、業界関係者からは早くも「ドコモが(旨みの少ない食材宅配事業に)あえて参入した意味が見えない」など今回の買収・提携を疑問視する声が挙がっているようだ。
賞味期限のある生鮮品を扱う食材宅配は過剰在庫を出さないよう需給のバランスを見ながら、生産量などをコントロールしたり、生鮮品を扱うために特殊な物流が求められるなどシビアなオペレーションが求められる難しいビジネス。また、有機・低農薬野菜などの場合は特に生産量を一気に拡大するのは難しいことに加え、消費者の間で食品に対して安心・安全への関心が高まっているとは言え、比較的高額な食材宅配を利用する世帯は限られた層であり、急激な売り上げ拡大もまた難しいわけだ。
今後、事業規模を拡大させていくには、利用者の拡大策はもちろん、商品の供給量拡大のため、有機野菜や低農薬野菜の生産者を開拓する必要がありそうだが、「そう簡単にはクリアできない」(業界筋)問題のようだ。こうした問題をどう捉え、らでぃっしゅぼーやの舵をどうとっていくのか。あえて、「食材宅配」というビジネスに参入したドコモの真意や思惑を含めて、行方を注視する必要がありそうだ。
ドコモは1月31日から3月12日にかけて、TOBを実施し、完全子会社化を視野にらでぃっしゅぼーやの発行済株式と新株予約権を合わせて51・0%(370万6600株)以上の取得を目指す。全株式を取得した場合の買収総額は約69億円となる見込み。子会社化後は、数人の役員を派遣する予定だが、らでぃっしゅぼーやの現経営陣は変更しない意向。
ドコモは成長戦略として、本業である通信事業の周辺領域に事業を拡大させており、外食大手との共同出資会社設立や気象情報配信会社との資本業務提携などを行ってきた。通販でも09年にテレビ通販大手のオークローンマーケティングを買収している。今回のらでぃっしゅぼーやの買収もその一環だとしている。
らでぃっしゅぼーやの買収後は、同社の事業拡大を進める意向。具体的にはドコモが持つ約6000万人の顧客をらでぃっしゅぼーやの宅配事業に送客。携帯電話の請求書を通じた紹介やドコモの独自ポイントを活用した販促、スマホ向けのポータルサイトでの告知などの実施を検討する。
また、ドコモのノウハウを活用して、らでぃっしゅぼーやのモバイル通販を強化。アプリの開発などを視野に、これまで未対応だったスマホやタブレット端末での注文に対応させる。加えて、宅配の申込みをペーパーレスで行えるようにするなど手続きを簡略化して高齢者などの新規客を開拓。さらにタブレット端末などを活用し、生産者が申告する生産履歴などの情報をリアルタイムで収集することも検討するようだ。
また、本業の通信事業とのシナジーにも期待する。らでぃっしゅぼーやの既存客約11万人に対して、ドコモ端末利用を推進する。利用頻度の高い日常食品の販売でパケット定額制に誘導し、「全体の底上げにつなげたい」(ドコモ)など、利用頻度の高い食品の取り扱いを開始し、パケット通信料金の収入拡大につなげたい考え。
さらにドコモは1月30日にローソンとの提携についても発表。ドコモは子会社化後のらでぃっしゅぼーや株式の最大20%をローソンに譲渡、3社で業務提携を行なうもの。なお、ローソンは、らでぃっしゅぼーやに代表権を持つ副社長を1人派遣する予定。
ローソンは食品の製造小売を強化したい狙いで、これまでも、らでぃっしゅぼーやと食品のネット販売を行う合弁会社の「らでぃっしゅローソンスーパーマーケット」を展開してきた。業務資本提携を通じて、らでぃっしゅぼーやのノウハウを共有化することで有機野菜などの商品調達力の向上を目指す。
今後、らでぃっしゅぼーやの商品をローソン店頭で販売することなども予定し、ローソンの持つ物流機能を共同活用し効率化する。また、ローソンはドコモと連携しスマホやタブレット端末を店頭の販促に利用する考え。
通信とコンビニの大手がタッグを組んだ今回の買収および業務提携は注目されるところだが、業界関係者からは早くも「ドコモが(旨みの少ない食材宅配事業に)あえて参入した意味が見えない」など今回の買収・提携を疑問視する声が挙がっているようだ。
賞味期限のある生鮮品を扱う食材宅配は過剰在庫を出さないよう需給のバランスを見ながら、生産量などをコントロールしたり、生鮮品を扱うために特殊な物流が求められるなどシビアなオペレーションが求められる難しいビジネス。また、有機・低農薬野菜などの場合は特に生産量を一気に拡大するのは難しいことに加え、消費者の間で食品に対して安心・安全への関心が高まっているとは言え、比較的高額な食材宅配を利用する世帯は限られた層であり、急激な売り上げ拡大もまた難しいわけだ。
今後、事業規模を拡大させていくには、利用者の拡大策はもちろん、商品の供給量拡大のため、有機野菜や低農薬野菜の生産者を開拓する必要がありそうだが、「そう簡単にはクリアできない」(業界筋)問題のようだ。こうした問題をどう捉え、らでぃっしゅぼーやの舵をどうとっていくのか。あえて、「食材宅配」というビジネスに参入したドコモの真意や思惑を含めて、行方を注視する必要がありそうだ。