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東京地裁  ゆうメール商標権侵害訴訟、JPに使用指し止め判決

2012年 1月18日 15:36

 郵便事業会社(JP)の「ゆうメール」が商標権の侵害に当たるとして、北海道のDM会社・札幌メールサービス(同・札幌市東区、竹内武司社長)が広告物配布での「ゆうメール」の名称使用差止を求めた裁判で、東京地方裁判所は1月12日、JPの商標権侵害を認め、「ゆうメール」の使用差し止めを命じる判決を下した。JP側は、控訴する構えを見せているが、問題の解決が長引いた場合、通販事業者など顧客企業への影響も懸念される。
 
 札幌メールサービスでは、広告物の戸別配布の分野で2004年6月に「ゆうメール」を商標登録(申請は前年4月)。一方のJPも同年4月に同分野で商標登録を出願したが認められず、鉄道や車両による輸送などの分野で同年11月に登録。07年に「冊子小包」を「ゆうメール」に改称した。

 札幌メールサービスによると、3年ほど前にJPに対し「ゆうメール」のサービス名が商標権の侵害に当たると指摘していたという。さらに日本知的財産仲裁センターに調停を申し立てたが、JPが調停を拒否したため、2010年3月に今回の訴訟を提起した。

 法廷では、JPが「ゆうメール」の商標で、大々的な広告・宣伝物を集め各戸に配布しており、商標権を連日、大規模に侵害し続けていると主張する原告の札幌メールサービスに対しJPは、自社の「ゆうメール」は荷物の配達を主眼としたサービスであり、原告が商標権を持つサービスとは異なるなどと反論。訴訟の過程で裁判所側から和解勧告もあったが、JP側は拒否したという。

 1月12日の判決期日で東京地裁の阿部正幸裁判長は、JPが「ゆうメール」について、広告物もサービスの対象になると宣伝していることなどから、サービス内容が類似していると判断。JPによる商標権侵害を認め、「ゆうメール」の使用差し止めを命じた。

 今回の判決について札幌メールサービスの訴訟代理人である馬杉栄一弁護士は、「原告のような小さな地方の企業こそ知的財産権を大きな武器として事業戦略を立てるべきであり、法的に擁護されるべきであるとの信念のもとに(勝訴の)判決を得ることができた」とコメント。また、日本が知財立国を目指す中、政府が株式を100%所有するJPは、商標権を含む知的財産権を率先して尊重すべき立場にあると指摘。明白な商標権侵害を行った上、反省もなく調停・和解に応じなかったことは許されるべきものではないとしている。

 これに対しJPは、「当社の主張が認められなかったことは遺憾。控訴審の判断を仰ぎたいと思う」(広報)とし、控訴する構えを見せている。

 だが、上級審でも判決が覆らず商標の使用差し止めが確定した場合、サービス名変更などのコストが料金に転嫁されることも考えられ、「ゆうメール」を活用したサービスを扱う宅配便事業者でも、自社サービス名の変更を迫られる可能性もある。

 DM子会社の設置やホームページでの告知など、広告物配布での「ゆうメール」利用促進を図ってきたJP。通販事業者の中にはカタログやチラシなどの配布に「ゆうメール」を利用しているところもあるが、今後の影響が懸念されるところだ。

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