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中尾英樹ジェイド執行役員オペレーションズディレクターに聞く 靴の「ロコンド」の返品対応は?

2012年 1月 4日 17:03

051.jpg電話相談や返品を積極的に受けるビジネスモデルでネット販売市場に参入した靴の「ロコンド」。サイトを運営するジェイドの中尾英樹執行役員に返品対応について聞いた。
 
返品率20%弱で推移、「買ってから選ぶ」定着へ

――『99日間の返品無料』を掲げて新規参入し、間もなく1年が経つ。
 「これまでネットで靴が売れなかったのはサイズの問題が大きい。すべての商品を送料無料とし、とことん履き比べてもらうことで安心して利用してもらうのが当社ビジネスのベースだ」

――送料負担や検品・補修などでコストと手間がかかる。
 「返品できるからこそ獲得できた顧客もある。ただ、靴は返品に適した商材ということは言える。服だと試着時や配送時にシワやシミがつきやすいが、靴は汚れにくい。また、日本では返品された商品についても、ほとんどがすぐに再販できるくらいキレイな状態で戻ってくる。米国だとそうはいかない」

――再販への工程は。
 「返品された商品が販売したものと合っているか確認した後、検品して布がけやホコリ取り、脱臭をする。靴の素材で使うクリームや薬品が違うため、靴業界の出身者が検品を行っている」

――返品対応は自社で行っている。
 「物流センターでは商品の仕分けやピッキング、発送業務などは専門の企業にお願いしているが、返品商品については"顧客の声"として自社で対応している。返品理由のほとんどがサイズの問題だが、通販サイトのイメージと違うなどの意見もある。その場合は、画面の色味を調整するなど、迅速に顧客の声を反映させる。また、返品商品の検品を自社で行うことで、再販の判断を早めることにもつながる」

――返品自体を減らす取り組みも必要だ。
 「フィット感を商品説明に加えるのもその一環で、幅が狭いとか甲が低いとか、ほかにも写真では伝えきれない色味や付属品の情報も詳しく伝える。当社ではメーカーから商品が届いたその日にサイトにアップするようにしているが、電話でオペレーターが受けた質問なども順次、商品情報として追加している」

――現状の返品率は。
 「返品率は足数換算で20%弱と、想定よりも少ない。海外のケースだと40%以上とも言われている。この1年で商品カテゴリーごとにノウハウを蓄積している。これは返品を受けてみないと分からない部分だ。ロングブーツだと、ふくらはぎ周りのサイズ感で返品する消費者が多く、こうした部分を文章でどう補うかなどが重要になる」

――消費者の買い方は。
 「まだ購入者の大部分が1足だけ買ってサイズ感などを試しているが、最近ではサイズ違いや型違いの商品を何足も買って複数足を返す消費者も増えてきている。こうした利用のされ方こそ当社が狙っているもので、『買ってから選ぶ』という新しい購入スタイルを定着させたい」

――今後の課題は。
 「8月にバッグの販売を開始したが、バッグは素材が靴に近く、修理面でもあまり困らない。ただし今後、衣料品を展開することになると話は別だ。さまざまな素材への対応や、新規客の拡大に伴って返品率が高まることも予想されるため、オペレーションの効率化などが必要になる」

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