化粧品原料の通販開始
旧態依然とした産業構造に別れ化粧品の受託製造を展開するサティス製薬が化粧品原料の販売事業を始める。同社は昨年、全国各地の生産者を巡り化粧品の国産原料100種を開発する「ふるさと元気プロジェクト」を始動。今後、ネットを中心にBtoB通販を展開するが、中間事業者を介した原料供給が当然の業界にあって直接販売を行うことは、化粧品製造業界に対するアンチテーゼでもある。旧態依然とした産業構造に一石を投じようとする山崎智士社長に狙いを聞いた。
ふるさと元気プロジェクトの進捗状況は。
「現在、69品目の国産原料をラインアップし、100品目が視野に入りました。受託事業者が独自素材を持つことは珍しいことではありませんが、品目数では国内最大ではないかと思います」
プロジェクトの狙いは。
「化粧品のルーツは欧州の『ハーブ』や中国の『漢方(生薬)』など海外に求めるケースが優位に働き、日本の国産原料は消費者の購買心理を喚起するキーワードになり得ていません。今後、『メイド・イン・ジャパン』を掲げ海外展開を視野に入れた時、国産素材が化粧品原料として優秀であることを示すために原料販売していくことが必要であると考えました」
国産素材の価値の創造と原料販売はどうつながるのか。
「精進料理をはじめ和食が健康食として海外で注目されたように、海外に打って出るには何かシンボルが必要だと思います。ただ69品目の素材を並べ立てても中身が伴わないのでは、珍しい素材で終わってしまう。これまでは自社で製品化するだけでしたが他社にも原料を供給していくことで、自然派性的に日本にも優秀な素材があることを海外に伝えていきたいと考えました。(自社開発の独自素材を販売することは)一時的に当社の競争力を弱めることにはなりますが、海外展開の際"国産原料で1番の会社"であることは強みにもなります」
これまで原料メーカーからの原料調達には常にディーラー(中間事業者)が介在していた。通販展開する理由は。
「これまで業界に身を置いてきて不思議に感じてきたことがあります。それは何をするにしても中間事業者が介在していること。原料メーカーが新素材を開発して扱いたいと思っても"価格は代理店に聞いて下さい"となってしまう。彼らはある種の"情報ハブ"となり、原料メーカーと製造事業者をつなぐ橋渡し役になることで存在感を示してきました」
「ただ、ネットの普及をはじめ産業全体の様相が変化する中、中間事業者でなければ持ち得ない情報は少なくなり、存在感を失いつつあります。にもかかわらず、未だに製造業者は一部大手を除き原料メーカーと直接取引できず、商品開発を進める上では水を差し、その中間マージンは商品の価格に反映されます。こうした古い流通形態に囚われたくないという考えがありました」
直接販売により、古い産業構造に一石を投じると。
「それほど大それた考えを持っているわけではありません。ただ、今の業界は本当の意味で競争に晒されていないと感じます。市場に流通在庫が溢れる一方で小売事業者の新規参入が相次ぎ、製造量は増加して業界は潤う。化粧品業界の市場規模が2兆円程度にも関わらず、1000社以上の製造事業者が存在していることが、いかに競争が起きず、淘汰が起きていないかを物語っています。そのような環境下で原料の供給体制に代表される旧態依然とした産業構造を抱えていては真の競争力など身につきようもありません」
今後の原料販売事業の展開はどういったステップで今後進めていくのか。
「5月の化粧品関連の展示会『化粧品産業技術展(サイト・ジャパン)』に出展して、9月をめどにBtoBの通販サイトを立ち上げる予定です」
海外展開のめどは。
「2012年~13年に何らかの行動は起こしたいと考えています」
旧態依然とした産業構造に別れ
化粧品の受託製造を展開するサティス製薬が化粧品原料の販売事業を始める。同社は昨年、全国各地の生産者を巡り化粧品の国産原料100種を開発する「ふるさと元気プロジェクト」を始動。今後、ネットを中心にBtoB通販を展開するが、中間事業者を介した原料供給が当然の業界にあって直接販売を行うことは、化粧品製造業界に対するアンチテーゼでもある。旧態依然とした産業構造に一石を投じようとする山崎智士社長に狙いを聞いた。
ふるさと元気プロジェクトの進捗状況は。
「現在、69品目の国産原料をラインアップし、100品目が視野に入りました。受託事業者が独自素材を持つことは珍しいことではありませんが、品目数では国内最大ではないかと思います」
プロジェクトの狙いは。
「化粧品のルーツは欧州の『ハーブ』や中国の『漢方(生薬)』など海外に求めるケースが優位に働き、日本の国産原料は消費者の購買心理を喚起するキーワードになり得ていません。今後、『メイド・イン・ジャパン』を掲げ海外展開を視野に入れた時、国産素材が化粧品原料として優秀であることを示すために原料販売していくことが必要であると考えました」
国産素材の価値の創造と原料販売はどうつながるのか。
「精進料理をはじめ和食が健康食として海外で注目されたように、海外に打って出るには何かシンボルが必要だと思います。ただ69品目の素材を並べ立てても中身が伴わないのでは、珍しい素材で終わってしまう。これまでは自社で製品化するだけでしたが他社にも原料を供給していくことで、自然派性的に日本にも優秀な素材があることを海外に伝えていきたいと考えました。(自社開発の独自素材を販売することは)一時的に当社の競争力を弱めることにはなりますが、海外展開の際"国産原料で1番の会社"であることは強みにもなります」
これまで原料メーカーからの原料調達には常にディーラー(中間事業者)が介在していた。通販展開する理由は。
「これまで業界に身を置いてきて不思議に感じてきたことがあります。それは何をするにしても中間事業者が介在していること。原料メーカーが新素材を開発して扱いたいと思っても"価格は代理店に聞いて下さい"となってしまう。彼らはある種の"情報ハブ"となり、原料メーカーと製造事業者をつなぐ橋渡し役になることで存在感を示してきました」
「ただ、ネットの普及をはじめ産業全体の様相が変化する中、中間事業者でなければ持ち得ない情報は少なくなり、存在感を失いつつあります。にもかかわらず、未だに製造業者は一部大手を除き原料メーカーと直接取引できず、商品開発を進める上では水を差し、その中間マージンは商品の価格に反映されます。こうした古い流通形態に囚われたくないという考えがありました」
直接販売により、古い産業構造に一石を投じると。
「それほど大それた考えを持っているわけではありません。ただ、今の業界は本当の意味で競争に晒されていないと感じます。市場に流通在庫が溢れる一方で小売事業者の新規参入が相次ぎ、製造量は増加して業界は潤う。化粧品業界の市場規模が2兆円程度にも関わらず、1000社以上の製造事業者が存在していることが、いかに競争が起きず、淘汰が起きていないかを物語っています。そのような環境下で原料の供給体制に代表される旧態依然とした産業構造を抱えていては真の競争力など身につきようもありません」
今後の原料販売事業の展開はどういったステップで今後進めていくのか。
「5月の化粧品関連の展示会『化粧品産業技術展(サイト・ジャパン)』に出展して、9月をめどにBtoBの通販サイトを立ち上げる予定です」
海外展開のめどは。
「2012年~13年に何らかの行動は起こしたいと考えています」