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有力各社次の一手は? 全日空商事 "タッチポイント"拡大へ

2011年 3月10日 10:55

機内映像や店舗、ソーシャルメディアも活用

全日空商事(本社・東京都港区、中野雅男社長)のネット販売が好調だ。同社は今期から通販事業を抜本的に刷新。「選択と集中」の結果、紙媒体での通販から撤退し、ネット販売一本に絞っており、現在のネット販売の売上高は昨対比40%増で推移。目標値の50%増に「徐々に近づいている」(全日空商事WEBセールス部・海野尚二部長)とし、最終的には今期は30億円前後で着地する見通しだ。ただ、「今年は土台作りの時期だった」(同)と分析。来期以降は「ソーシャルメディア活用」と「マルチデバイス対応」を戦略の柱に据え、より本腰を入れてさまざまな施策に着手するという。空港店舗などのリソースも最大限活用し、新規客の開拓を図っていく。
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 同社は今期から、売り上げが落ち込んでいたカタログと機内誌の通販を止め、ネット販売のみに集中。全日空のマイレージプログラム「ANAマイレージプログラム(AMC)」と通販サイト「astyle」を連携させたマイルと通販サイトのポイントを交換できるサービスが好評で、売上高は昨対比40%増で推移している状況だ。

 集客はAMC会員の流入が中心となっているが、昨年夏からはリスティングやアフィリエイトなども開始。ネット広告で新規開拓を図っている一方、3月から全日空のリソースを活用した新たな取り組みとして、機内のスカイビジョンを利用したキャンペーンを実施。国内線の機内で30秒の自社CMを流す仕掛けで、専用のキャラクター「クリスティーナ」を使った映像を流し「astyle」をアピール。メルマガ会員にはユーチューブでの先行配信も行った。

 CMは通販サイトでも視聴可能。第2弾の配信も計画している。また、全日空の空港店舗などでも同キャラクターの活用を検討。チラシや買い物バッグにデザインし、認知度を高めてサイトへの誘導を図る考えだ。店舗活用では他に、QRコードを商品棚に設置するなども考えているという。

 「クリスティーナ」を使ったプロモーションはツイッターでも同時に開始。2カ月間の期間限定キャンペーンで、専用のアカウントとページを作り、ユーザーからの旅先の写真などを募っている。ソーシャルメディアを活用した参加型キャンペーンを実験的に行ったもので、同結果を参考に来期以降の本格運用につなげる狙いだ。ソーシャル活用はほかにSNS「フェイスブック」のファンページの開設も計画中。顧客と一緒に商品を作るなど「顧客とのエンゲージメントを構築する」(同)ツールとして活用していく構想だ。

 こうした「ソーシャル活用」と同時に、「マルチデバイス」対応も積極化。昨年末以降のスマートフォン経由での流入増を受けたもので、4月1日からiPhone版、アンドロイド版の通販アプリの提供を開始する予定。若いビジネスマンなどのスマートフォンユーザーを取り込む。また、機内誌「ANA SKY SHOP」の電子版のサイト掲載も開始。機内で誌面を見た搭乗客の利用を目的にしたもので、「自宅に帰ってからも見てもらえるようにした」(同)。

 今後はこうした「ソーシャル」「マルチデバイス」の二つの戦略を積極化する。AMC会員以外でも新規会員を獲得していき、さらなる飛躍につなげる。


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