
一般用医薬品のネット販売を規制するのは違憲などとしてケンコーコムとウェルネットが国を相手取って提起した行政訴訟(控訴審)の第3回期日が2月17日、東京高等裁判所で開かれた。同期日では裁判長交代があり、裁判の進め方に関する確認が行われたが、裁判所側と控訴人側の認識の食い違いが露呈し紛糾。次回(第4回)期日は4月28日に決定したが、次回期日で結審したとしても、裁判所が判決を下すまでに1カ月以上掛かると見られ、5月末の経過措置期限切れまでに高裁の司法判断が出る可能性は極めて低くなった。
1審では、ケンコーコムなど控訴人の全面敗訴の判決が下ったが、控訴審で裁判所側は裁判の争点の軌道を修正。前回の第2回期日で都築弘裁判長がネットと対面の優劣比較に終始した1審の争点に疑問を呈し、規制そのものの合理性などを焦点とする方針を提示。あわせて5月末で経過措置が期限切れとなることを踏まえ、早期に結審する意向を示唆していた。
第3回期日では、人事異動に伴う裁判長の交代があり、三輪和雄裁判長が前回期日までの経緯を確認。規制の合理性等を争点とすることについて異論は出なかったが、裁判の進め方で控訴人のケンコーコム側と裁判所側の認識に食い違いが露見した。
具体的には、控訴人側が訴訟人と被控訴人の国の双方が同時に主張・反論をし合った上で結審すると認識していたのに対し、裁判所側は、控訴人が行った被控訴人への求釈明の回答に対し、控訴人が反論、さらに被控訴人の再反論を経て結審するというものだ。
控訴人側が行った求釈明は、裁判所が新たに提示した方針を受けて浮上した疑問点を被控訴人に問い、主張・反論の前に不明瞭な点を明確にすることを狙ったもの。これに対し、裁判所側は双方が同時に主張を行った場合、論点が噛み合わずかえって時間が掛かる可能性があるなどとしたが、協議の結果、控訴人と被控訴人に前回期日に提起した方針に沿って控訴理由、規制の合理性に関する主張の書面を提出するよう求めた。
一方、早期に結審するためには、書面の提出期限が重要になるが、控訴人側は、前回期日で裁判所から主張と反論を行うための準備をするよう求められていたことから、3月末にでも書面を提出する意向を表明。だが、被控訴人側は新たな主張や証拠を盛り込む可能性があり、書面の作成に時間が掛かるとした。
これに対し控訴人側は、前回期日で裁判所が主張・反論のための準備をするよう求めているほか、控訴人の求釈明にも回答し、書面を作成するための材料が揃っていることなどから、「(被控訴人も)3月末までには書面を提出できるはず」(控訴人訴訟代理人の阿部泰隆弁護士)と指摘。さらに、これまで機会があったにも関わらず、書面を作る段になって新たな主張等を盛り込むと言い出したことにも疑問を呈したが、控訴人に4月4日、被控訴人に同月15日までに書面を提出するよう指示した。
反論の期間を挟み、次回期日を4月28日と決めたが、そこで結審するかどうかは「協議の上決める」(三輪裁判長)という状況。ケンコーコムなど控訴人側は、法廷で再三にわたり早期の結審を求めてきたが、仮に次回期日で結審しても5月の経過措置切れまでに判決が出る可能性は極めて低いのが実情だ。
一方、控訴審で裁判所が規制の合理性などを焦点としたことで、被控訴人の国側も1審の時のような論点のすり替えが難しくなると見られていたが、控訴人側が行った求釈明では、「こちらの質問の回答になっていない」(控訴人訴訟代理人の関葉子弁護士)項目が目立つなど、依然、論点のすり替えを続けているもよう。こうした緩慢な対応が主張の書面作成を遅らせ、この期に及んで新たな主張を盛り込むと言い出す要因にもなっているようだ。
裁判終了後、会見に臨んだケンコーコムの後藤玄利代表は、国の対応について「こちらの求釈明にもまともに解答しておらず、官僚の説明責任を果たしていない」(後藤代表)と指摘。薬害エイズ問題の際、政治主導で理不尽な規制を打破したように政治のリーダーシップを求めるとともに、「裁判所も法の番人として、我々の最後の砦として、しっかりとした判断をしてもらいたい」とした。
1審では、ケンコーコムなど控訴人の全面敗訴の判決が下ったが、控訴審で裁判所側は裁判の争点の軌道を修正。前回の第2回期日で都築弘裁判長がネットと対面の優劣比較に終始した1審の争点に疑問を呈し、規制そのものの合理性などを焦点とする方針を提示。あわせて5月末で経過措置が期限切れとなることを踏まえ、早期に結審する意向を示唆していた。
第3回期日では、人事異動に伴う裁判長の交代があり、三輪和雄裁判長が前回期日までの経緯を確認。規制の合理性等を争点とすることについて異論は出なかったが、裁判の進め方で控訴人のケンコーコム側と裁判所側の認識に食い違いが露見した。
具体的には、控訴人側が訴訟人と被控訴人の国の双方が同時に主張・反論をし合った上で結審すると認識していたのに対し、裁判所側は、控訴人が行った被控訴人への求釈明の回答に対し、控訴人が反論、さらに被控訴人の再反論を経て結審するというものだ。
控訴人側が行った求釈明は、裁判所が新たに提示した方針を受けて浮上した疑問点を被控訴人に問い、主張・反論の前に不明瞭な点を明確にすることを狙ったもの。これに対し、裁判所側は双方が同時に主張を行った場合、論点が噛み合わずかえって時間が掛かる可能性があるなどとしたが、協議の結果、控訴人と被控訴人に前回期日に提起した方針に沿って控訴理由、規制の合理性に関する主張の書面を提出するよう求めた。
一方、早期に結審するためには、書面の提出期限が重要になるが、控訴人側は、前回期日で裁判所から主張と反論を行うための準備をするよう求められていたことから、3月末にでも書面を提出する意向を表明。だが、被控訴人側は新たな主張や証拠を盛り込む可能性があり、書面の作成に時間が掛かるとした。
これに対し控訴人側は、前回期日で裁判所が主張・反論のための準備をするよう求めているほか、控訴人の求釈明にも回答し、書面を作成するための材料が揃っていることなどから、「(被控訴人も)3月末までには書面を提出できるはず」(控訴人訴訟代理人の阿部泰隆弁護士)と指摘。さらに、これまで機会があったにも関わらず、書面を作る段になって新たな主張等を盛り込むと言い出したことにも疑問を呈したが、控訴人に4月4日、被控訴人に同月15日までに書面を提出するよう指示した。
反論の期間を挟み、次回期日を4月28日と決めたが、そこで結審するかどうかは「協議の上決める」(三輪裁判長)という状況。ケンコーコムなど控訴人側は、法廷で再三にわたり早期の結審を求めてきたが、仮に次回期日で結審しても5月の経過措置切れまでに判決が出る可能性は極めて低いのが実情だ。
一方、控訴審で裁判所が規制の合理性などを焦点としたことで、被控訴人の国側も1審の時のような論点のすり替えが難しくなると見られていたが、控訴人側が行った求釈明では、「こちらの質問の回答になっていない」(控訴人訴訟代理人の関葉子弁護士)項目が目立つなど、依然、論点のすり替えを続けているもよう。こうした緩慢な対応が主張の書面作成を遅らせ、この期に及んで新たな主張を盛り込むと言い出す要因にもなっているようだ。
裁判終了後、会見に臨んだケンコーコムの後藤玄利代表は、国の対応について「こちらの求釈明にもまともに解答しておらず、官僚の説明責任を果たしていない」(後藤代表)と指摘。薬害エイズ問題の際、政治主導で理不尽な規制を打破したように政治のリーダーシップを求めるとともに、「裁判所も法の番人として、我々の最後の砦として、しっかりとした判断をしてもらいたい」とした。