昨年の夏号から、衣料品カタログの制作体制を大きく変えたスクロール。トレンド性の高い商品を短期間で投入できる体制を作るために改革を進めている。カ
タログ通販を取り巻く状況は今年も厳しく、難しいかじ取りが求められる。カタログをどう立て直すのか。そしてスマートフォンやiPadなどの新規媒体の利
用に活路は見いだせるのか。堀田守社長に今後の戦略を聞いた。(聞き手は本紙記者・川西智之)
――2011年3月期も期末に近付いているが、通販事業の業績をどう評価するか。
「点数をつけるなら50点程度。生協事業を除いた通販の売上高は減少しているが、利益は確保できているからだ。売上減に歯止めをかけるにはカタログ通販
として伸びるための施策が必要になってくる。カタログでブランディングを行い、ネット販売をマッチさせるという形でないと事業が成り立たない」
「今はカタログの配布部数を削減し、販促費を抑えることで利益を出しているが、来期からは戦略を変えていく。今期は『たとえ売り上げが大きく減ったとし
ても利益確保を優先するように』と言明していたのだが、それはメドが立っている。来期は売り上げを一定のラインで維持しながら利益も確保していきたい。簡
単なのはカタログの部数を増やすことだが、これでは以前に戻ってしまいかねない。工夫が必要になるだろう」
――スマートフォンやiPadなどの新規媒体に目を向ける企業が増えている。
「そういった新規媒体の活用や海外進出などが現状の体制で大きな効果をもたらすとは思えない。もちろん露出度を上げるのには役立つだろうが、『モノが売
れる』ことに直結しない。まずはカタログ立て直しを優先し、新しいツールはあくまで効率を上げるためのものとして使うべきではないか」
――新規顧客獲得を考えた場合、新たなメディアを積極的に使わざるをえないのでは。
「集客することで事業を拡大できるのか、そしてそれが儲けにつながるのかが問題だ。そのモデルを確立する前に新しいものに手を出しても意味がないのでは」
「上り調子のときであれば積極策も良いのだが、今は総合通販のビジネスモデル再構築が最優先。新規事業に注力すれば、それだけリソースを割くことになる。我々の直面している現実は非常に厳しく、戦力を分散することはできない」
――カタログに関してはネットへの移行をさらに進めるのか。
「例えて言うならネット販売は空中戦。効率良くポイントは攻められるが、地上戦、つまりカタログ通販のように面は攻められない。端的に言って、カタログ
を完全にネット販売に置き換えるのは難しい。どの総合通販もネット化が進むと同時に売り上げも減少しているのが実情だ。当社の場合、生協事業を除いた通販
の売上高は約200億円だが、もしカタログを全廃したら50億円程度まで落ち込むのではないか。新たなビジネスモデルを構築し、従来型のカタログとネット
などの新媒体をどうマッチさせるか。カタログの顧客とネットの顧客をどう整理するか。こうした問題に一丸となって取り組み、解決策を見出さなければ手の打
ちようがなくなる」
――市場は今年も厳しい状況が続くと考えているのか。
「会社の状況は悪くないが、マーケットは非常に厳しい。衣料品市場の規模はバブル崩壊以降、右肩下がりとなっている。さらにファストファッションなどに
定番の低価格商品を持っていかれており、残りを従来型の百貨店や通販などが取り合っているわけだ。こうした現実をきちんと認識しないと企業として生き残れ
ないだろう」
――来期もM&Aは積極的に展開する。
「インターネットの分野ではあまり慎重にならず、既存の商材、ビジネスを補強するような案件関しては積極的に買収していきたい」
――2011年3月期も期末に近付いているが、通販事業の業績をどう評価するか。
「点数をつけるなら50点程度。生協事業を除いた通販の売上高は減少しているが、利益は確保できているからだ。売上減に歯止めをかけるにはカタログ通販 として伸びるための施策が必要になってくる。カタログでブランディングを行い、ネット販売をマッチさせるという形でないと事業が成り立たない」
「今はカタログの配布部数を削減し、販促費を抑えることで利益を出しているが、来期からは戦略を変えていく。今期は『たとえ売り上げが大きく減ったとし ても利益確保を優先するように』と言明していたのだが、それはメドが立っている。来期は売り上げを一定のラインで維持しながら利益も確保していきたい。簡 単なのはカタログの部数を増やすことだが、これでは以前に戻ってしまいかねない。工夫が必要になるだろう」
――スマートフォンやiPadなどの新規媒体に目を向ける企業が増えている。
「そういった新規媒体の活用や海外進出などが現状の体制で大きな効果をもたらすとは思えない。もちろん露出度を上げるのには役立つだろうが、『モノが売 れる』ことに直結しない。まずはカタログ立て直しを優先し、新しいツールはあくまで効率を上げるためのものとして使うべきではないか」
――新規顧客獲得を考えた場合、新たなメディアを積極的に使わざるをえないのでは。
「集客することで事業を拡大できるのか、そしてそれが儲けにつながるのかが問題だ。そのモデルを確立する前に新しいものに手を出しても意味がないのでは」
「上り調子のときであれば積極策も良いのだが、今は総合通販のビジネスモデル再構築が最優先。新規事業に注力すれば、それだけリソースを割くことになる。我々の直面している現実は非常に厳しく、戦力を分散することはできない」
――カタログに関してはネットへの移行をさらに進めるのか。
「例えて言うならネット販売は空中戦。効率良くポイントは攻められるが、地上戦、つまりカタログ通販のように面は攻められない。端的に言って、カタログ を完全にネット販売に置き換えるのは難しい。どの総合通販もネット化が進むと同時に売り上げも減少しているのが実情だ。当社の場合、生協事業を除いた通販 の売上高は約200億円だが、もしカタログを全廃したら50億円程度まで落ち込むのではないか。新たなビジネスモデルを構築し、従来型のカタログとネット などの新媒体をどうマッチさせるか。カタログの顧客とネットの顧客をどう整理するか。こうした問題に一丸となって取り組み、解決策を見出さなければ手の打 ちようがなくなる」
――市場は今年も厳しい状況が続くと考えているのか。
「会社の状況は悪くないが、マーケットは非常に厳しい。衣料品市場の規模はバブル崩壊以降、右肩下がりとなっている。さらにファストファッションなどに 定番の低価格商品を持っていかれており、残りを従来型の百貨店や通販などが取り合っているわけだ。こうした現実をきちんと認識しないと企業として生き残れ ないだろう」
――来期もM&Aは積極的に展開する。
「インターネットの分野ではあまり慎重にならず、既存の商材、ビジネスを補強するような案件関しては積極的に買収していきたい」