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高岡会長兼社長に聞くエアウィーヴの現状と今後 ㊤ パリ五輪での寝具提供、通販のマーケティングにも活用

2025年 2月20日 12:00

 寝具類の製造・販売を手がけているエアウィーヴでは、実店舗、通販ともに売上高の成長が続いている。昨年はパリ五輪でのオフィシャル寝具サポーター活動を行うなど、更なる事業拡大につながる大きな節目も迎えた。寝具業界を取り巻く環境や同社の今後の展望などについて、高岡本州代表取締役会長兼社長に聞いた。

 ――現在の市場環境をどう見ているか。

 「2023年5月にコロナが5類感染症に移行し、そこから、消費行動が家の中から外へと変化していったことがあり、旅行需要なども増えていった。そのため、23年の後半については様々な需要が一巡した影響を受けていることになる。24年に関してはそれがフルに1年間で受けたと言える。

 そうしたこともあって、一般の市場全体を見てみると、あまり伸びていないという印象を受ける。実店舗での動向としても顧客の数が減っているのではないか。デパートのリビング関係の売り場などは、若干、人の入りが少なくなっている感じもある。そうした中で、我々は24年について、パリ五輪(でのオフィシャル寝具サポーター活動)や環境配慮型寝具の促進などに取り組み、実店舗での売り上げが対前年比でプラスになった。現在、約450人いる販売員達が全国各地の250店舗ほどの売り場で顧客と接触して、その声を聞いて販売活動をしている状況。

 実店舗は場所や時間の面で売り場に制約があるが、通販はそれを補完する場として非常に重要な役割を果たしている。24年は前年比でプラスになっており、トータルで見て非常に堅調だった。

 25年はエアウィーヴが商品の販売を開始してから18年目を迎える。我々は、『睡眠の質』を提供するという新しい切り口で、(独自素材の)『エアファイバー』という、従来のスプリングやウレタンとは全く違った新しい形の寝具を世に出していき、寝具を通じて『眠りの質を売る』ことに注力してきた。ここ10年~20年で、社会の『睡眠』への関心が高まってきたと思うが、その中で我々も足跡を残してきたのではないかと感じている。我々と同じような切り口で新規参入される会社も、毎年少しずつ淘汰されながらも出てきている状況だ」

 ――パリ五輪でのオフィシャル寝具サポーター活動について。

 「我々がスポンサードして寝具を(選手村の全1万6000床に)提供したことは、通販媒体も含めて、テレビCMや新聞広告などの各媒体でマーケティング的なアセットとして使わせてもらった。そのため、7月の大会開催時期はテレビ通販などでは想定の2倍~3倍ぐらいに商品が売れた。

 選手達が(マットレスなど)我々の商品を使ってくれたということ。そして、なぜ使ってくれているのかということについても、中の素材が3分割になっていて個別の体形に合わせてカスタマイズすることで腰などへの負担が減るといった機能性の部分をうまく伝えていった」

 ――マーケティングのインパクトとして大きかった。

 「こうした商品の機能性について、実店舗では販売員が説明するわけだが、通販の場合、テレビではMCの人が語ったり、紙媒体であれば機能の要素を絞って(テキストなどで)説明したりする。その時にやはり、消費者から見て『Wow!(ワォ)』というような驚きのアテンションを感じ取れる部分は何かしら必要だと考えている。

 例えば、会社によってはちょっと刺激的なキャッチコピーを作ったり、とても安いと感じられるような値引きをしたりなど。我々の場合は、それをこのパリ五輪で作ることができた。(オフィシャル寝具という)アテンションで皆さんの興味を引いて、商品の機能を伝えられたということで、やはり五輪というものは非常に大きかったと思う。

 ただ、残念ながら24年については、この五輪での活動に相当のリソースを割いたことで、国内ではそこまでの展開ができなかったという面もあった。24年の7~8月は当社の社員が、入れ替わり立ち替わりパリに出張した。延べ60人が1週間~10日間ほどパリに滞在して、そこにリソースを割いたわけなので、仮にこのリソースを国内の営業に使えた場合、相当な活動ができたはず。環境対応や個別化された機能など、国内のマーケットにも浸透させる努力はもっとできたのかもしれないし、本来はするべきだったのだろう。それは25年に挽回しようと思っている」
(つづく)
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