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小林製薬が製造管理で再び問題 「思い込み」で探知できず

2025年 2月13日 12:00

 小林製薬で「製造管理」の問題が再び発生した。紅麹事件の受け、再発防止の徹底を図る最中の出来事。1月30日、販売するおりものシートの仕様ミスに気づき、2月6日に消費者庁に報告、公表した。

 対象商品は、「サラサーティ コットン100 オーガニックコットン48枚」(=画像)。昨年9月末の発売から出荷・販売した18万個全品の商品交換に対応する。流通在庫の回収も始めた。

 問題は、開発担当者が新製品の開発に向けて、現行品のサンプルを調査する中で見つけた。商品は本来、肌側のシートがオーガニックコットン、外側は合成繊維との混合シートで構成するが、これが逆になっていた。

 製造管理では、原料の納入、製品出荷前の検品を行う。ただ、シートは資材メーカーからロール状で納品されており、「思い込みがあり、ロール状であってことから確認していなかった」(同社)。出荷時に使用チェックも行ったが、「目視や触感で区別することは難しい」(同)と発見できていなかった。原因は、「コミュニケーション不足による資材メーカーと認識のズレがあった。こちらが細かく言うべきだった」と話す。プロセス管理に対する現場の過信が招いたミスともいえる。

 商品は、「品質、安全性など性能は問題ない」(同)とする。ただ、「多大なご迷惑をおかけした。低刺激をうたい、お客様もこれを期待している。品質が異なるため販売してはいけない」と、公表した。性能の誤表示であるため、景品表示法上の不当表示(優良誤認)にあたる可能性もある。

 2月8日に専用の電話窓口を開設。下旬からウェブの受け付けも行う。商品は「交換対応」で対処するが、返金対応には「基本性能や安全性に問題はなく、正しく生産された製品を渡すことが誠実な対応と考えた」とする。

 すでに資材メーカーに依頼して仕様ミスを改善した。2月25日から商品の再販を予定する。「サラサーティ」シリーズの年間売上高は非開示だが、業績への影響は「軽微」。再発防止は、「事業者とコミュニケーションを密にする」という。

 問題は、いまだ紅麹事件の影響を残し、再発防止に向けた構造改革を進める最悪のタイミングの中で発生した。行政報告は早く、目視で発見しにくい間違いに気づいたのは、従業員の意識改革に進捗がみられるためかもしれない。

 しかし、検品をスルーし、製品のプロフェッショナルがサンプルを手にするまで発見できなかった。「未知の成分という思い込み」が衛生管理のずさんさを助長し紅麹事件が発生したように、不信感を持つ消費者には、公表に至る「7日間」すら、長いと感じそうだ。
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