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消費者行政の司令塔の触れ込みで9月1日に発足した消費者庁。同庁によると、庁内に設けた「消費者情報ダイヤル」への問い合わせ件数が開設後約20日で2,300件を超え、同庁では「従来吸い上げ切れなかった情報まで上がってきているのではないか」(消費者情報課)と見る。消費者側からすると、問い合わせ窓口が明確になったことで相談がしやすくなったという効果はあるようだが、寄せられた情報の分析や、その開示方法などに物足らなさも感じられる。
消費者庁は、消費者被害に関する情報を一元的に収集する機能を持つ。同庁で情報収集を担う消費者情報課では、全国の消費生活センターから寄せられた情報を分析し、執行部門各課に伝達するほか、約40人の相談員を配置した「消費者情報ダイヤル」を設置。消費者からの直接の問い合わせも受け付けている。
9月1日から18日までの期間に「消費者情報ダイヤル」へ寄せられた相談や問い合わせの件数は2,306件。この内訳は、相談や苦情、提案等の「一般的内容」が1,836件、「法解釈」が292件、不当表示等の「情報提供」が413件(1件の問い合わせで複数の内容を含むことがあるため、総受付件数を上回る)。
因みに、「情報提供」の内訳としては、食品の異物混入やプリンターの発熱等の製品の「安全」、不当勧誘や解約トラブル等の「取引」、誇大広告や効能効果表示等の「表示」。消費者情報課では、「製品事故に関するものが多い」とするが、現状、各項目の件数等の詳細は公表しておらず、事業者側からすると問題となっている事項の傾向が分かりづらい面もある。
この理由には、消費者からの聞き取りのみで事実確認がされていないといったこともあるが、もう一つ重要なのが「マンパワーの問題」(消費者情報課)。寄せられた情報を分析する選任担当者も置くが、件数が多く、同課の職員全員が分析作業を兼務しているなど、多種多様な案件を分析・整理し、さらにより細かな情報を提供できる体制が十分に整っていないという面もあるようだ。
消費者行政の司令塔である消費者庁からのより具体的な情報がなければ、事業者側も表示等の改善策を講じることは難しい。消費者被害の未然防止といった点からも、体制整備と提供する情報内容の拡充が必要と言える。