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QVCの物流戦略①ーー自前主義でノウハウ蓄積

2010年 6月24日 18:21

 テレビ通販大手のQVCジャパンが不景気の中で業績を伸ばしている。24時間、1つのチャンネルで生放送する安心感をベースに、消費者に価値のある商品を提案することはもちろん、同社が顧客満足度の向上に向けて重視するのが翌日出荷を実現する物流オペレーションと品質管理だ。リピーター獲得の生命線ともなる物流と品質管理を、自前の巨大センターで一体運営するなど独自の取り組みを行っている同社の物流戦略を追う。

 同社の物流は本国の米国や欧州のQVCグループと同様、「自前主義」にこだわり、基幹となるWMS(倉庫管理システム)をはじめ、すべてを自社で開発しているのが特徴だ。

 日本では、千葉県佐倉市に敷地面積約14万平方メートル、延床面積約9万平方メートルという巨大な商品センターを自前で整備。土地や建屋、自動倉庫などの物流機器に130億円以上を投じて2007年8月に開設した。

 同社では毎日、番組で紹介する商品が異なるため、放送当日は大量に出荷する商品も、翌日、翌々日と取扱量は大きく変化していく傾向にある。

 商品全体の出荷件数は1日平均3万ピース、最大で7~8万ピースに上る。出荷は、厳選した商品を1日限定の特別価格で紹介するTSV(トゥデイズスペシャルバリュー)商品の割合が高いため、ホームグッズやアパレル商材、ジュエリーなど、その日のTSVの商品カテゴリーによっても商品のロケーションをフレキシブルに変えている。

 同社では、冷凍・冷蔵品は産地から直送しているが、それ以外の常温商品は「いま、オンエアしている商品は翌日に出荷する」(同社)のが大前提で、放送分の在庫はオンエア時には全量を保管している必要がある。

 そのため、パレット単位で大量の商品を保管するパレット自動倉庫と、オリコンや段ボールで商品を保管するカートン自動倉庫の2種類の自動倉庫を使い分け、その日に出荷する分の商品は朝一番で自動倉庫からピッキング(仕分け)棚に持ち出すという手法をとっている。

 そうすることで、日々変化する商品カテゴリーごとの出荷量に手を焼くことなく、対応できるというわけだ。

 また、1日の出荷件数の増減にも対応できるよう、すべてのスタッフが出荷業務をトレーニングすることで、「翌日出荷」できる物流品質を堅持しているとする。

 同社では、フレキシブルな人員活用や梱包・出荷作業の一部を機械化することで物流業務の生産性が向上。センターのスタッフは開設当初の350人から330人に減った。

 また、08年から09年にかけての商品1点当たりの作業コストは17%、物流コスト全体では8%削減したという。(つづく)
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