千趣会は、ネットを機軸にした新たな事業基盤の構築に本腰を入れている。この一環として、7月1日付で「EC事業開発部」を新設し、カタログ通販をベースにした「ベルメゾンネット」と一線を画した新たなネットのビジネスモデルの開発を推進。来春をメドに事業展開に乗り出す計画だ。現段階では具体的に決まったものはないが、今後、どのような方向性で顧客に新たな価値を提供するビジネスを展開していくのかを探った。
「EC事業開発部」は、東京事業本部内に設置したもの。7人の編成で、部長にはデジタルメディア部長だった中山茂氏が就く。現在の状況としては、「まだ動き出したばかりで、何も具体的なことは決まっていない」(中山部長)だが、計画レベルでは既に50以上の新規ネットビジネスの案が出ているという。
「EC事業開発部」で検討するネットの新企ビジネスは、物販だけではなくサービス系のものも含み、BtoCだけではなく、BtoBあるいはBtoBtoCまでも守備範囲とする。事業テリトリーとしては幅が広いと言えるだろう。その中で、一つのコンセプトとなっているのは、「ベルメゾン」の事業展開と明確に線引きをすることだ。
現在「EC事業開発部」では、出てきたプランを整理し優先順位をつけている状況だが、中には物販のプランで、今「ベルメゾン」で扱っていない商品を売ろうという、すぐにでも実現できそうな内容のものもある。だが、「単にターゲットと商品を変えるというものは、我々の範疇には入っていない」(中山部長)という。
物販も新たなネットビジネスのターゲットではあるが、現在扱っていない商品でも、今後「ベルメゾンネット」が進化すれば、その仕組みで販売できる時期もくる。このため、「『ベルメゾンネット』に近いところでビジネスを立ち上げても意味がない」(同)わけだ。
「EC事業開発部」の使命は、「ベルメゾンネット」と全く異なるビジネスモデルを構築することだが、物販に関して言えば、"何を売るか"よりも"どう売るか"ということが焦点になる。実はこの売り方の部分、「ベルメゾン」の中で、なかなかできていなかった課題でもある。その理由の一つがブランディングとの兼ね合いだ。
例えば、ギャザリングやオークション。既にネットの販売手法として定着し、利用者も拡大しているが、「ベルメゾンネット」の中で展開しようと考えた場合、「価格が一日のうちに何度も変わるようなものを扱うのはブランディング的に問題がある」(同)。オークションの場合、出品者と落札者間でトラブルが起きれば、ブランドイメージを損ねる懸念もあるわけだ。
また、顧客の価格志向が強まっている現状を考えれば、いわゆる"訳あり商品"のニーズもあるが、「ブランド的に少し違う」(同)など、扱う商材にも制約が加わっていた。
カタログ事業の過半を占める「ベルメゾンネット」だが、こうした状況を見る限り、強固なブランドであるがゆえに、なかなか思い切った施策が打ち出せないというジレンマがあったわけだ。その意味では、「EC事業開発部」で開発する物販の新規ビジネスは、「ベルメゾン」ブランドの制約を超えたところでの事業展開を構想していると言っていい。
来春から着手する新規ビジネスは具体的に決まっていないが、既に出ているプランの中から幾つかを並行して進める見込み。「マーケティングの方法や売り方などは、『ベルメゾンネット』と全く別の仕組みを構築する方向性で動いている」(同)状況で、「ベルメゾン」のモデルと明確に棲み分けができる新規ビジネスの開発を進める考えだ。同時に「ベルメゾンネット」への還元も視野に入れており、「将来『ベルメゾンネット』が進化すれば、我々が手掛けるサービスをどこかのタイミングで融合することもあり得る」(同)という。同部署の取り組みは、全社的な業容の拡大、さらに既存事業の強化という点からも重要になる。(次回以降の連載は本紙で)
千趣会は、ネットを機軸にした新たな事業基盤の構築に本腰を入れている。この一環として、7月1日付で「EC事業開発部」を新設し、カタログ通販をベースにした「ベルメゾンネット」と一線を画した新たなネットのビジネスモデルの開発を推進。来春をメドに事業展開に乗り出す計画だ。現段階では具体的に決まったものはないが、今後、どのような方向性で顧客に新たな価値を提供するビジネスを展開していくのかを探った。
「EC事業開発部」は、東京事業本部内に設置したもの。7人の編成で、部長にはデジタルメディア部長だった中山茂氏が就く。現在の状況としては、「まだ動き出したばかりで、何も具体的なことは決まっていない」(中山部長)だが、計画レベルでは既に50以上の新規ネットビジネスの案が出ているという。
「EC事業開発部」で検討するネットの新企ビジネスは、物販だけではなくサービス系のものも含み、BtoCだけではなく、BtoBあるいはBtoBtoCまでも守備範囲とする。事業テリトリーとしては幅が広いと言えるだろう。その中で、一つのコンセプトとなっているのは、「ベルメゾン」の事業展開と明確に線引きをすることだ。
現在「EC事業開発部」では、出てきたプランを整理し優先順位をつけている状況だが、中には物販のプランで、今「ベルメゾン」で扱っていない商品を売ろうという、すぐにでも実現できそうな内容のものもある。だが、「単にターゲットと商品を変えるというものは、我々の範疇には入っていない」(中山部長)という。
物販も新たなネットビジネスのターゲットではあるが、現在扱っていない商品でも、今後「ベルメゾンネット」が進化すれば、その仕組みで販売できる時期もくる。このため、「『ベルメゾンネット』に近いところでビジネスを立ち上げても意味がない」(同)わけだ。
「EC事業開発部」の使命は、「ベルメゾンネット」と全く異なるビジネスモデルを構築することだが、物販に関して言えば、"何を売るか"よりも"どう売るか"ということが焦点になる。実はこの売り方の部分、「ベルメゾン」の中で、なかなかできていなかった課題でもある。その理由の一つがブランディングとの兼ね合いだ。
例えば、ギャザリングやオークション。既にネットの販売手法として定着し、利用者も拡大しているが、「ベルメゾンネット」の中で展開しようと考えた場合、「価格が一日のうちに何度も変わるようなものを扱うのはブランディング的に問題がある」(同)。オークションの場合、出品者と落札者間でトラブルが起きれば、ブランドイメージを損ねる懸念もあるわけだ。
また、顧客の価格志向が強まっている現状を考えれば、いわゆる"訳あり商品"のニーズもあるが、「ブランド的に少し違う」(同)など、扱う商材にも制約が加わっていた。
カタログ事業の過半を占める「ベルメゾンネット」だが、こうした状況を見る限り、強固なブランドであるがゆえに、なかなか思い切った施策が打ち出せないというジレンマがあったわけだ。その意味では、「EC事業開発部」で開発する物販の新規ビジネスは、「ベルメゾン」ブランドの制約を超えたところでの事業展開を構想していると言っていい。
来春から着手する新規ビジネスは具体的に決まっていないが、既に出ているプランの中から幾つかを並行して進める見込み。「マーケティングの方法や売り方などは、『ベルメゾンネット』と全く別の仕組みを構築する方向性で動いている」(同)状況で、「ベルメゾン」のモデルと明確に棲み分けができる新規ビジネスの開発を進める考えだ。同時に「ベルメゾンネット」への還元も視野に入れており、「将来『ベルメゾンネット』が進化すれば、我々が手掛けるサービスをどこかのタイミングで融合することもあり得る」(同)という。同部署の取り組みは、全社的な業容の拡大、さらに既存事業の強化という点からも重要になる。(次回以降の連載は本紙で)