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楽天、物流サービスの実力は?④ネット売上拡大に貢献、顧客対応や生産体制が改善

2010年 6月13日 21:44

前号に引き続き、「楽天物流サービス」を利用する楽天店舗の事例を紹介する。
 
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 手作りスイーツの通販サイトを運営する、天使のおくりもの(本社・茨城県土浦市、磯前雄一社長)が物流代行サービスを利用し始めたのは2009年7月のことだ。
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 通販サイト「天使のおくりもの」がテレビで放映されたのをきっかけに、数年前からサイト訪問者が急増。年商も1億円程度まで拡大している。

 同サイトの商品はすべて冷凍で保管・配送しておりチーズケーキの訳あり品(切れ端)や、濃厚でとろけるチョコレートケーキなどが人気商品。ギフトとしての需要が多く、クリスマスやバレンタインなどにオーダーが集中する傾向が強い。

 物流業務を委託する前は、商品の製造から発送までの作業を社内で一貫して行っていたが、繁閑の差が大きく、ピーク時だけパートタイマーを集めるのは難しかった。

 09年2月(バレンタイン)には近隣の倉庫会社と臨時契約して出荷業務を手伝ってもらったが、単純な業務だけを依頼したため、同梱できる商品が限られるなど、顧客視点に欠けたことが反省材料となった。

 その後、売り上げ増もあって09年5月に現在の土浦市内に事務所と製造ラインを移転。これに伴い、物流改革に着手することになった。

 自社で倉庫会社を探すことの難しさを感じていた同社では、楽天に依頼し、紹介されたのが川崎市内に冷凍倉庫を持つナカムラロジスティクスだった。

 本来であれば、製造ラインに近い倉庫を望んでいたが、楽天の契約パートナーで冷凍のスイーツに対応でき、かつ、足回りでヤマト運輸を指定できる物流会社が茨城県内にはなかった。

 そこで、川崎市にある倉庫を見学したところ、「冷凍倉庫だけでなく、梱包・出荷作業場でも温度管理がしっかりしていた」(磯前剛専務)。

 ナカムラロジは、「楽天市場」で食品を扱うネット販売事業社の物流を受託していることもあり、安心感があった。「コストも想定内だった」(同)。また、受注件数が伸びても対応できる点が心強かったようだ。

 CS向上の観点からも大きな変化があった。それまで、冷凍(保管)スペースの問題から在庫を過度に持たないようにしていたため、受注生産に近く、消費者に届けるまでに1週間近くかかっていた。物流を委託したことで、鮮度を保ったまま多くの商品を保管し、受注後すぐに発送できるようになった。単品商品の組み合わせ販売もできるようになったという。

 また、繁忙期にも通販サイトのページ作りやメルマガの配信ができるようになり、売り上げ拡大に向け好循環を産み出しているようだ。

 今後は、ナカムラロジの協力を得ながら、細かい商品の詰め合わせをギフト包装で送れるようにしたり、受注翌日に届ける「あす楽」にも取り組む考えだ。  (おわり)


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