ペイパルは6月25日、決済サービス「ペイパル」において、銀行口座からの支払いを可能にした。これまで、「ペイパル」の口座にはクレジットカードしか連携できなかったが、新たに銀行口座にも対応。カードを持たない消費者でも、銀行口座の振替機能を使用してペイパルが利用できるようになる。ペイパルを導入する通販企業にとっては、消費者の支払い手段が拡大することで、購入率の向上が期待できる。
同日現在で、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行、ゆうちょ銀行に対応した。消費者は「ペイパル」に自分の銀行口座を登録しておけば、「ペイパル」を導入した通販サイトで商品を購入する際に、改めて口座を登録することなく買い物ができる。振込手数料は不要で、毎月定額支払いする場合でも、ペイパルを利用すればその都度銀行口座から振り込む手間が不要になる。
通販企業にとっては、通販サイトで銀行振込に未対応の場合、追加コストなしで銀行振込機能を導入することができるほか、カードを持っていないユーザーや、ネットでは使いたくないというユーザーへのニーズに対応することができる。また、銀行振込に対応している場合でも、ペイパルを利用すれば、銀行振込の結果と注文情報の突き合わせ作業が不要になるほか、リアルタイムで入金されるメリットがある。ペイパル決済のインターフェイスを活用することで、購入率の向上も期待できるという。
新機能の導入を予定している、ランニングポータルサイト「ランネット」では、同サイトからのマラソン大会のエントリー時の支払い手段は、カード決済が60%、コンビニエンスストア支払いが40%となっている。同サイトを運営するアールビーズの生駒佑人氏は「以前は銀行振込にも対応しており、約3万人の利用者がいたが、未回収のリスクがあり、費用対効果があわなかった」と話す。ペイペルの場合、未回収リスクを負う必要がない点がメリットとなる。新機能の導入で、カードが使えないユーザーへのニーズに応えられるようになったほか、コンビニ決済についても、同様に未入金となるケースがあるため、コンビニ決済の減少により入金率アップが期待できるという。
また、チケット販売のPeatix Japanの岩井直文代表取締役は、「新たな決済手段の導入で、購入率向上が期待できるほか、カード決済比率の減少でチャージバック(カード決済の取り消し)リスクが格段に減る」とメリットを説明。銀行振込はカード情報を入力する必要がないだけではなく、「その場で注文が完了するため、未入金リスクがなくなるのも大きい」(岩井代表取締役)という。
ペイパルの曽根崇東京支店カントリーマネージャー(=写真)は「ペイパルはグローバルで『金融サービスの民主化』をミッションとして掲げている。日本では『オンラインで物を買いたいが、決済手段がない』といった消費者や、『既存の決済サービスには課題や問題がある』という消費者や売り手に対し、よりユニバーサルなサービス、より簡単なサービス、よりビジネスに集中できる環境をそれぞれ提供していくことが金融サービスの民主化にあたる」などと述べた。
その他の新機能としては、個人ユーザーは「ペイパル」口座で、1回あたり10万円までの支払いの受け取りができるようになった。対応する銀行口座とオンライン連携することで本人確認を行い、1回あたり100円までの支払いの受け取りや銀行口座への引き出しが可能になる。さらに、企業は個人ユーザーのペイパル口座と金額を指定するだけで、支払いができる。