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楽天、アメリカでネット販売

2010年 5月27日 11:52

 楽天は米国でネット販売事業に進出する。5月20日、完全子会社の楽天USAを通じて、米のネット販売事業者「Buy.com(バイ・ドット・コム)」を約230億円で買収することで合意。楽天USAの完全子会社にして「楽天市場」の機能やノウハウを注入する考えだ。楽天では今年度中に10カ国に進出する計画を打ち出しており、今回の買収もそうした一環。アマゾンやイーベイなど大手がひしめく"本場"で果たしてどのような戦略を進めるのか、注目が集まりそうだ。

 楽天は2008年5月に台湾で「台湾版楽天市場」を開始して以来、タイ、中国への参入を発表しており、今回の「バイ・ドット・コム」買収は、仮想モール展開の海外四拠点目。「米国は既にアマゾンやイーベイがあるので、ゼロからより有力なパートナーと組むのが最善」(楽天)と判断した。

 楽天側から取締役などを派遣する予定だが、バイ・ドット・コム側の主要な経営陣は留まる方針。社名やブランド名は米国での知名度を考慮して当面、変更する予定はないという。サイトデザインの変更も「未定」(同)としている。

 「バイ・ドット・コム」は、約1400万人の顧客基盤を持つネット販売事業のほか、北米や欧州を中心に、出店店舗を募りネット販売を行うマーケットプレイス事業も並行して展開する。09年12月の売上高は約57億円で、同時期に行われた調査では、「米国のオンラインストア部門で九位」(同)という。

 ネット販売事業の取扱商品は約500万アイテムで、コンピューターや家電を中心に、書籍、アパレル、宝飾品などを多く取り扱う。マーケットプレイス事業は現在、約千社が出店している。

 今後の詳細は不明だが、ポイントやカードなど「楽天市場」で培った機能やサービス、運営ノウハウを「現地の事情に合わせて」(同)「バイ・ドット・コム」に注入する見通し。同社が持つ顧客データベースも組み合わせ、マーケットプレイス事業を強化する。

 また、日米間の商品の相互供給も計画。未定だが、お互いのサイト内に専用コンテンツを設置して商品を販売する形式などが考えられるようだ。
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