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消費者庁のセカンドオピニオン事業、専門家集団を組織

2016年 9月29日 18:15

消費者庁は来年度、新規事業として健康食品の機能性に関する「セカンドオピニオン事業」を行う。目的の一つは、執行の迅速化。臨床系や医学系、薬学系、栄養系、化学系など各専門分野による専門家集団を組織することでこれを可能にする。今年度に1200万円の予算を投じる。来年度は約2000万円の予算を要求している。

 これまでも景品表示法違反など健食の表示に関する合理的根拠について、専門家の意見をうかがうことはあった。ここ数年、ダイエット関連の表示に強気の執行を連発する背景にも、著名な専門家による「食事制限と運動抜きに痩身効果は得られない」という確定的な見解があるとされる。2013年秋以降、ダイエット関連の処分は11件に上る。健食の大半はダイエットに関するものだ。

 一方で課題となっていたのが、行政と意見を聞く学識経験者との関係性だ。一般的に専門的見地からの意見を聞く場合、謝礼などが発生するのが当然だ。ただ、多くは大学教授などなんらかの組織に所属しており、これまでのように事案のたびにその分野の専門家に意見を尋ねる形では、「組織(行政)」対「組織(大学)」といった正式な依頼関係をとりづらく、謝礼を受け取ってもらえないケースもあったという。結果的に「対個人」という形でボランティアとして依頼せざるを得なかった。その都度の、こうした手続きの調整に時間もとられていた。

 「セカンドオピニオン事業」では、食品表示の監視を担う消費者庁食品表示対策室が、専門的意見を聞く専門家集団を正式な形で組織することで、手続きの手間が省け、執行スピードも上がることが予想される。

 新事業では、違反の蓋然性が高い事案を受けて意見を聞くだけでなく、積極的にある特定の成分に関する「研究レビュー」も行う。初年度は「事件調査」で30件、「研究レビュー」で30件を予定。国立健康・栄養研究所が運用する「健康食品の安全性・有効性データベース」に情報提供し、消費者にフィードバックする。

 特定の成分の機能に統一的な見解が示されることになれば、ダイエットだけでなく、ほかの成分の機能や健康増進効果に対する規制も強まってくることが予想される。

 インターネット上の健食に関する虚偽誇大広告の監視も来年度に前年比約2倍の予算を要求している。ネット上で虚偽誇大の疑いのある広告を含むサイト抽出業務を委託することで、ネット監視のモニタリング件数の拡充を図る。

 違反の蓋然性が高い広告の選定にも健康食品のアドバイザリースタッフなど、専門的な知見を持つ者の知見を活かす。これにより改善要請のスピードをあげていく。

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