夢展望は3月31日付で、健康コーポレーションの傘下に入る。収益悪化を背景に、第三者割当増資で健康コーポレーションを引受先とする資金調達を行った。今後、顧客ニーズに合った商品戦略とオムニチャネル展開を推進するという。「お客様主義」に立ち返ると話す岡社長に、再建の行方を聞いた。(聞き手は本紙記者・兼子沙弥子)
「お客様主義」に回帰、顧客ニーズに合った商品展開へ――収益が悪化した要因は。
「成長を追う中で新しいアイテムを仕掛けたが、『夢展望でしか買えない』『夢展望らしいアイテム』という付加価値を提案できなかった」――なぜか。
「業績が順調に伸び株式を公開した当時は、その時のトレンドや顧客のニーズに合ったものをタイムリーに提案できることが強みだった。株式を公開後は、売り上げの拡大を目指すため、新規客層を獲得することに注力していた。その一環でカジュアル衣料品や小学生向け衣料品を立ち上げたが、会社都合で進めたことで顧客との親和性が低くなったのだと思う。加えて、売れ筋商品を閑散期に大量生産して在庫を積み上げる商品戦略に変えたため利益を圧迫した。今後は、『お客様第一主義』に立ち返って、会社がやりたいことではなく、顧客が必要としているものを提案したい」――自身の経営責任については。
「業績回復で責任を果たす。今回の増資は企業が存続する上で、財政基盤の安定化のため不可避な選択だった。今後は、マーケットインでの事業展開で、収益をしっかりと上げる」
――どう立て直すか。
「これまでのカジュアル系衣料品ブランドを投入していたマルチブランド戦略から、これからはニッチブランド戦略へと回帰する。"ギャル層"が減少したと言われるが、最も購買頻度が高い顧客層は21~22才と変わらない。この層が必要とするトレンド商品を提案したいと考えている」
――具体的には。
「予約販売の状況なども参考にしつつ、顧客のニーズにあった商品の品ぞろえを実現する。上場前と同様のビジネスモデルに戻り、短期間で商品開発を行い、短納期で製造。トレンド情報の収集を積極化しトレンドを外さないMD計画を立て、在庫を減らして売り切ることで収益性を高める」――円安のリスクは今後、どう回避するか。
「たった1つ、ブランド価値を上げることだ。付加価値を上げるためには価格に応じた品質と、価格に見合った顧客満足を得られる付加価値の高い商品やサービスを提供していく必要がある」
「子会社化した後は親会社となる健康コーポレーションと人事交流も行い、マーケティングやプロモーションノウハウを活用しながら販促戦略を進める方針だ」――ターゲットを絞るといずれは売上高が頭打ちになる可能性がある。
「その時に、今進めているオムニチャネル展開が生きるだろう。ネット販売で頭打ちになれば、実店舗で売り上げを伸ばすことが可能。実店舗を通じてネットで開拓できなかった層を取り込むことで、さらなる伸長が望める。将来、売り上げが頭打ちになった場合には、あるカテゴリーに特化した専門店の展開で、より深いニーズを開拓することができると思う」
――現在のオムニチャネル化の進捗の状況は。
「実店舗の新規客がネット販売を利用するケースもみられ、店舗とネットの相互送客に手ごたえを感じている。オムニチャネル化を進めていくと好きな売り場で商品を購入するシンプルな形になるのではないか。システム面では、ネットと店舗の在庫連動にも着手した。ネット販売で扱う商品を店頭で取り寄せるサービスも用意しているが、オペレーションが煩雑になるので大きくは告知していないが、利用する顧客もいるためニーズを実感している。今後はオムニチャネル化の次の段階として、顧客データの一元化も検討したいと考えている」――オムニチャネル化を進める上で商品戦略の変化はあるか。
「実店舗は5店舗を構えているが、ネットと店舗の売れ筋にほとんど違いがないのが実感だ。ただ送料がかからない店舗の方が、客単価が低い傾向があるため、新規客獲得を狙った戦略商品の取り扱いだけ、販売チャネルにあわせて変えていく必要があるだろう」
「お客様主義」に回帰、顧客ニーズに合った商品展開へ
――収益が悪化した要因は。
「成長を追う中で新しいアイテムを仕掛けたが、『夢展望でしか買えない』『夢展望らしいアイテム』という付加価値を提案できなかった」
――なぜか。
「業績が順調に伸び株式を公開した当時は、その時のトレンドや顧客のニーズに合ったものをタイムリーに提案できることが強みだった。株式を公開後は、売り上げの拡大を目指すため、新規客層を獲得することに注力していた。その一環でカジュアル衣料品や小学生向け衣料品を立ち上げたが、会社都合で進めたことで顧客との親和性が低くなったのだと思う。加えて、売れ筋商品を閑散期に大量生産して在庫を積み上げる商品戦略に変えたため利益を圧迫した。今後は、『お客様第一主義』に立ち返って、会社がやりたいことではなく、顧客が必要としているものを提案したい」
――自身の経営責任については。
「業績回復で責任を果たす。今回の増資は企業が存続する上で、財政基盤の安定化のため不可避な選択だった。今後は、マーケットインでの事業展開で、収益をしっかりと上げる」
――どう立て直すか。
「これまでのカジュアル系衣料品ブランドを投入していたマルチブランド戦略から、これからはニッチブランド戦略へと回帰する。"ギャル層"が減少したと言われるが、最も購買頻度が高い顧客層は21~22才と変わらない。この層が必要とするトレンド商品を提案したいと考えている」
――具体的には。
「予約販売の状況なども参考にしつつ、顧客のニーズにあった商品の品ぞろえを実現する。上場前と同様のビジネスモデルに戻り、短期間で商品開発を行い、短納期で製造。トレンド情報の収集を積極化しトレンドを外さないMD計画を立て、在庫を減らして売り切ることで収益性を高める」
――円安のリスクは今後、どう回避するか。
「たった1つ、ブランド価値を上げることだ。付加価値を上げるためには価格に応じた品質と、価格に見合った顧客満足を得られる付加価値の高い商品やサービスを提供していく必要がある」
「子会社化した後は親会社となる健康コーポレーションと人事交流も行い、マーケティングやプロモーションノウハウを活用しながら販促戦略を進める方針だ」
――ターゲットを絞るといずれは売上高が頭打ちになる可能性がある。
「その時に、今進めているオムニチャネル展開が生きるだろう。ネット販売で頭打ちになれば、実店舗で売り上げを伸ばすことが可能。実店舗を通じてネットで開拓できなかった層を取り込むことで、さらなる伸長が望める。将来、売り上げが頭打ちになった場合には、あるカテゴリーに特化した専門店の展開で、より深いニーズを開拓することができると思う」
――現在のオムニチャネル化の進捗の状況は。
「実店舗の新規客がネット販売を利用するケースもみられ、店舗とネットの相互送客に手ごたえを感じている。オムニチャネル化を進めていくと好きな売り場で商品を購入するシンプルな形になるのではないか。システム面では、ネットと店舗の在庫連動にも着手した。ネット販売で扱う商品を店頭で取り寄せるサービスも用意しているが、オペレーションが煩雑になるので大きくは告知していないが、利用する顧客もいるためニーズを実感している。今後はオムニチャネル化の次の段階として、顧客データの一元化も検討したいと考えている」
――オムニチャネル化を進める上で商品戦略の変化はあるか。
「実店舗は5店舗を構えているが、ネットと店舗の売れ筋にほとんど違いがないのが実感だ。ただ送料がかからない店舗の方が、客単価が低い傾向があるため、新規客獲得を狙った戦略商品の取り扱いだけ、販売チャネルにあわせて変えていく必要があるだろう」