グループで「ジャーナルスタンダード」や「イエナ」など複数の衣料品ブランドを展開するベイクルーズのEC事業が好調に拡大を遂げている。前期(2014年8月期)のEC売上高は前期比46%増の121億円だった。順調に伸長する業績の背景には大きく3つの要因があるようだ。
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ベイクルーズのEC拡大の要因として1つ目に「
商品供給の強化」が挙げられる。同社取締役ICT統括の村田昭彦氏は「もともと一番の問題が機会損失が大きいことだと考えており、商品供給体制を2年程かけて見直した」と説明する。
以前は各ブランドの戦略に沿う形でECでの展開方法が決まっていたが、ECとしてどこを目指して、何をするか目標を明確にする必要があった。加えて、バラバラだったEC業務の運用を平準化し、ブランドごとのノウハウを共有することに取り組もうとした。そのためにブランドごとにそれぞれEC担当者がいたのをまとめて、EC専門の部隊を組織した。
そして商品供給の強化に着手した。それまでは各事業部の裁量に任せる格好でECでの展開型数にもバラつきがあったが、KPIを設定し、在庫の初期配分や期中フォローを見直した。最適な在庫量を設定して細かくチェックした。「しかるべきKPIを設定して見直しを行ったのが一番大きかった」と村田氏。
2つ目のEC拡大要因は「
データと在庫の連携」。同社は13年11月から自社通販サイト「スタイルクルーズ」と出店先の仮想モールとの間で、商品データと在庫を連携させる取り組みを開始。ベイクルーズ側でサイトに掲載する画像データなどを作成して連携先の仮想モールに提供するほか、商品は自社倉庫に保管して在庫情報を一元管理する。
これにより自社通販サイトと連携するモールとの間で1点でも商品が残っていれば、連携するすべてのサイトで在庫が表示されるため、機会損失の低減につながるというわけだ。村田氏によると、在庫連携しているところに関しては「すごい売り上げが伸びている」とし、データと在庫連携取引に手応えを感じている。
ベイクルーズのEC拡大要因の3つ目が「
好調な自社通販サイト」だ。同社のEC売上高121億円のうち自社ECは前期比77%増の42億円で推移。自社通販サイト「スタイルクルーズ」(=
画像)では特にスマホの伸びが顕著で、77%増で伸びたうちスマホだけを見ると177%増となっている。
スマホがここまで伸びている背景には同社が数年前から進めているシステムの内製化により、スマホの細かい改修のスピードが上がったことが挙げられる。
例えば「お気に入り」に登録している商品が値下がりしたらメールで通知する"値下げ通知機能"を実装。セール前に「お気に入り」登録をすると値段が下がるたびに通知が行くため、同機能経由の集客とコンバージョンは良かったという。スマホではこうした細かい機能改善を頻繁に行っている。結果、直近では自社EC売上高のうちスマホが約7割を占めている。
もっとも、前期の自社ECでスマホ経由の売り上げが177%増とはいえ、パソコン経由での売り上げも伸びており、パソコンとスマホ双方のデバイスで規模を拡大している。
さらに自社通販サイトでは店舗スタッフによるコーディネートスナップの投稿を簡単にできるように工夫した。従来は写真を撮影する部隊が各店舗を回っていたが、店舗スタッフが画像を撮影してアップロードするという作業に特化したアプリを社内向けに開発した。
これによりスタッフは店頭に配布されている「iPad」を使ってコーディネートを撮影し、画像を簡単に投稿できる。これまでは商品のタグを見て品番を打ち込んでいたが、バーコードスキャンによって品番を即座に読み込める。同アプリの開発によって「現場スタッフはコーディネート力や提案力を持っている。なるべくいろいろなコーディネートを撮って投稿してもらう」(村田氏)というのが狙いだ。
コーディネートは閲覧される機会も多く、アクセス数が増えるとそれに伴って、通販サイトのページビューやトラフィックが増えていく。そのため提案する頻度を増やし、通販サイトの閲覧や店頭への送客などにつなげる狙いだ。
(
つづく)
ベイクルーズのEC拡大の要因として1つ目に「商品供給の強化」が挙げられる。同社取締役ICT統括の村田昭彦氏は「もともと一番の問題が機会損失が大きいことだと考えており、商品供給体制を2年程かけて見直した」と説明する。
以前は各ブランドの戦略に沿う形でECでの展開方法が決まっていたが、ECとしてどこを目指して、何をするか目標を明確にする必要があった。加えて、バラバラだったEC業務の運用を平準化し、ブランドごとのノウハウを共有することに取り組もうとした。そのためにブランドごとにそれぞれEC担当者がいたのをまとめて、EC専門の部隊を組織した。
そして商品供給の強化に着手した。それまでは各事業部の裁量に任せる格好でECでの展開型数にもバラつきがあったが、KPIを設定し、在庫の初期配分や期中フォローを見直した。最適な在庫量を設定して細かくチェックした。「しかるべきKPIを設定して見直しを行ったのが一番大きかった」と村田氏。
2つ目のEC拡大要因は「データと在庫の連携」。同社は13年11月から自社通販サイト「スタイルクルーズ」と出店先の仮想モールとの間で、商品データと在庫を連携させる取り組みを開始。ベイクルーズ側でサイトに掲載する画像データなどを作成して連携先の仮想モールに提供するほか、商品は自社倉庫に保管して在庫情報を一元管理する。
これにより自社通販サイトと連携するモールとの間で1点でも商品が残っていれば、連携するすべてのサイトで在庫が表示されるため、機会損失の低減につながるというわけだ。村田氏によると、在庫連携しているところに関しては「すごい売り上げが伸びている」とし、データと在庫連携取引に手応えを感じている。
ベイクルーズのEC拡大要因の3つ目が「好調な自社通販サイト」だ。同社のEC売上高121億円のうち自社ECは前期比77%増の42億円で推移。自社通販サイト「スタイルクルーズ」(=画像)では特にスマホの伸びが顕著で、77%増で伸びたうちスマホだけを見ると177%増となっている。
スマホがここまで伸びている背景には同社が数年前から進めているシステムの内製化により、スマホの細かい改修のスピードが上がったことが挙げられる。
例えば「お気に入り」に登録している商品が値下がりしたらメールで通知する"値下げ通知機能"を実装。セール前に「お気に入り」登録をすると値段が下がるたびに通知が行くため、同機能経由の集客とコンバージョンは良かったという。スマホではこうした細かい機能改善を頻繁に行っている。結果、直近では自社EC売上高のうちスマホが約7割を占めている。
もっとも、前期の自社ECでスマホ経由の売り上げが177%増とはいえ、パソコン経由での売り上げも伸びており、パソコンとスマホ双方のデバイスで規模を拡大している。
さらに自社通販サイトでは店舗スタッフによるコーディネートスナップの投稿を簡単にできるように工夫した。従来は写真を撮影する部隊が各店舗を回っていたが、店舗スタッフが画像を撮影してアップロードするという作業に特化したアプリを社内向けに開発した。
これによりスタッフは店頭に配布されている「iPad」を使ってコーディネートを撮影し、画像を簡単に投稿できる。これまでは商品のタグを見て品番を打ち込んでいたが、バーコードスキャンによって品番を即座に読み込める。同アプリの開発によって「現場スタッフはコーディネート力や提案力を持っている。なるべくいろいろなコーディネートを撮って投稿してもらう」(村田氏)というのが狙いだ。
コーディネートは閲覧される機会も多く、アクセス数が増えるとそれに伴って、通販サイトのページビューやトラフィックが増えていく。そのため提案する頻度を増やし、通販サイトの閲覧や店頭への送客などにつなげる狙いだ。
(つづく)