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ディノスとセシール  共同で持株会社設立でフジグループの通販拡大

2010年 3月18日 10:06

 フジ・メディア・ホールディングス(FMH)傘下のディノスとセシールは4月1日付で共同持株会社となる新会社「株式会社フジ・ダイレクト・マーケティング(FDM)」を新設する。両社は今後、新設の持株会社傘下でFMHが掲げる顧客リストの相互活用や物流センターの相互利用など具体的な連携を促進。シナジーによる通販事業の拡大や収益力向上などを図っていくものと見られる。
 
 ディノスとセシールは株式移転(※既存会社の発行済株式すべてを新設の株式会社に取得させることで新たに親会社を設立する制度で、既存の会社は新会社の完全子会社になる)でFDMを4月1日付で新設する。FDMは東京・中野に本社を構える。資本金は1億円。代表取締役会長にはディノスの石川社長、代表取締役社長にはセシールの上田CEOがそれぞれ就任した。取締役にはディノスから長広勲常務、セシールからは益村雄二CFOが就任。FMHは増田繁執行役員常務経営企画局長、保田眞宏経営企画局経営管理担当局長の両氏を取締役に、羽原毅執行役員財務局長を監査役として派遣した。

 FDMはFMHを完全子会社とするフジグループの通販事業部門の中間持株会社としてディノスとセシールを傘下に置き、今後、両社の各経営資源を組み合わせながら、通販事業の拡大や収益性向上を進めていくものと見られる。

 両社の連携策については昨年5月、FMHがセシールの買収発表時に(1)顧客リストの相互活用(カタログの相互送付、カタログの統合、顧客リストの統合など)(2)地域性の補完、商品性の補完(3)コールセンター・物流センターの相互利用(4)カタログコスト(用紙代、印刷費、通信費など)の低減(5)共同システム関連投資の低減(6)組織体制・人事制度の見直し等による費用の適正化などを掲げていた。

 また、昨年末に本紙の単独インタビューに応じたセシールの上田CEOは「重複する家具・雑貨の仕入先を一本化して価格競争力をつける、あるいは衣料品でもディノスが当社の調達ルートを使いマージンを増やすといったこともできるだろう」など両社の具体的な連携の方向性について見解を示している。

 ただ、それらの具体策や実施時期などについては「現状、具体的なものはまだ決まっていない」(ディノス広報)としている。

 しかし、大規模な連携は実施していないものの、両社は昨年から部分的に連携を開始。互いの通販サイトで通販カタログ請求の相互リンクや、顧客への商品配送時に商品チラシなどを互いに同梱する試みなどだ。今年に入ってからはセシールの独自化粧品「アルマード ラ ディーナ シリーズ」をディノスの美容健康系商品の通販カタログ「ディービューティー」春夏号の表三に掲載し、販売するなどの一歩進んだ連携なども始めている。

 企業文化が異なる大手総合通販企業同士の連携がどう進展し、FMHの思惑通りに互いにシナジーをもたらし、両社の業績拡大につながるのか。今後の展開が注目される。


 

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