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LINEの島村武志上級執行役員に聞く、「ラインモール」の戦略は㊤

2014年 9月11日 15:10

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 無料通信アプリ「LINE(ライン)」を展開するLINEは運営する仮想モール「LINE MALL(ラインモール)」で法人の出品対応を始める。8月27日に開催した新サービス発表会の場で、「LINE」でつながっている友人同士でまとめ買いができる「グループ購入」など4つのサービスを開始し、それぞれ法人からの出品を受け付けることを明らかにした。同発表会で新戦略について説明した同社上級執行役員コマース・メディア担当の島村武志氏にラインモールのこれまでの取り組みや法人対応の内容などについて聞いた。


──昨年12月にラインモールがプレオープンしてからこれまでの状況は。

 「スタート時から試行錯誤を続けてきた。まずは誰でも簡単にモノを売って買えるということをしっかり作り込もうとした。その中で『今までのEC体験ではないものを作る』ということは最初から決めていた。既存のECプラットフォームにあるようなことと同じことをやっても意味がない。それはスタートする前からわかっていた。これまでの過程で得た経験は、ラインモール開始前に考えていた仮説を立証することばかりだった

──具体的には。

 「つまり、人はネットで"目的買い"しか行わないのか。検索機能が充実していなければECは成り立たないのか。ラインモールは検索機能が良いとは思っていないが、であるなら人と商品は出会えないのか。そうしたことを検証したが、(検索機能が充実していなくても)"出会える"ということは確認ができた。あるいは、『安くしたから売れる』『ここにしかない体験だから売れる』という2種類があるとして、もちろん両方売れると思う。ただ、安くして他に比べて条件がいいから売れるという売れ方は"比較検索型"の消費行動である。もちろんそれはどこよりも安くすれば売れるが、我々はそうではない方法でモノが売れることも試せた

──流通総額は想定以上に伸びているのか。

 「最初はそれこそゼロ円の可能性もあると思って始めたが、規模感としては予測していたよりも出た。例えばセール品に関してはニーズに対してモノのほうが少ない。本当はもっと並べたいが、我々の条件に合うものを確保するのが難しい。供給のほうが少ない状況だ。ただ、今は外に向けて大きく発表するタイミングではなく、成果を最大限に作るための礎(いしずえ)を築いているところ

──今回、「グループ購入」や、ギフトを送ることができるサービス「ギフト」、セレクトショップの店頭在庫を購入できる「セレクト」など一般企業が出品するサービスを発表したが、問い合わせの状況は。

 「すごくあった。当社の全窓口に電話がかかるような状態だった。ただ、今はまだご案内ができる状態ではなく、『少し待ってください』とお伝えしている。先日はあくまで戦略発表の場であり、機能ができて受け付けの準備が整ってスタートするのは『グループ購入』だけだ

──「グループ購入」は8月28日に始まったが、立ち上がりの段階でネットプライスとジェイグラブの2社が出品している。この2社を選んだ理由は。

 「実は『グループ購入』は機能としてまだ検証段階。皆さん最初からすごい完成品が出てくると思われるかもしれないが、インターネットサービスはやりながらはぐくんでいくものだと思う。最初から完璧なものを作り上げるのではなく、やりながらどういう形がいいかを探している。その際に今までお取引のある企業さんにご理解いただき、テスト的な運営ということを理解してもらった上で取り組んでいる

 「まずは売り場の価値を作ることをしっかりとやらせていただく。最初に価値を作らず商品を並べてもお客様は戸惑う。良い商品があって、お客様に『こういう場なんだ』『こういう経験ができるんだ』と思っていただくことが大事。そのためには順番があり、最初から何でもかんでも投入するということではない

──出品に関しての手数料率は。

 「具体的な数字は言えないが、『グループ』や『ギフト』、(産地の農作物や魚介類を購入できる)『マルシェ』、『セレクト』などサービスのジャンルによってそれぞれ異なる。今のところ初期費用をとる計画はなく、純粋に販売手数料だけをいただく予定だ」  (つづく)

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