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waja、ブランド中古品で寄付事業

2014年 7月 3日 11:18

ネット販売事業を手がけるwajaは7月1日、「社会貢献」をコンセプトにしたブランド中古品の委託販売事業を始める。不用になったファッション商材を出品者から預かって販売し、売れた商品の代金は全額、NPOに寄付する。NPOは商品提供者に寄付金受理証明書を交付することで、個人の場合は寄付金控除が受けられ、法人であれば費用計上によるメリットのほかCSRにもつながるとしており、不用品の対価を現金ではなく"節税"という形で提供する新たな事業モデルだ。

同社が始める新事業は「ファッション・チャリティー・プロジェクト(FCP)」。

 既存の通販サイト「waja」などで培ったノウハウを活用し、商品提供者から預かったアイテムの撮影やサイトアップ、商品発送など一連のフルフィル・物流業務を同社が手がける。ただ、ブランド品の査定、値決めを行うのは初めてのため、査定業務についてはブランド品の真贋で実績のある専門会社と業務提携した。

 商品の調達は個人と法人を想定。とくに法人にとっては、ブランドイメージを傷つけずにファッション商材の在庫を圧縮できたり、CSRや節税にもつながる。

 一方の商品購入者は欲しい商品が手頃な価格で手に入るのと同時に社会貢献につながることで満足度が高まるとする。

 NPOは「FCP」を利用して寄付金を得るため、寄付金に応じたサービス利用料をwajaに支払う仕組みで、同社はこの利用料で収益を確保する。

 同社は、日本のチャリティーのほとんどが人々の"善意"に基づいていることに着目。チャリティーは身を削る行為のため一部の層にしか刺さらず、多くの人は災害などが起きたときに興味を示すものの、一時的なものになりがちだ。こうした状況を変えるには"善意"に頼るのではなく、ニーズを前提とした仕組み作りが不可欠と判断。「新事業でチャリティー市場にスケールと継続性をもたらしたい」(小安光司会長兼CEO)とする。

 「FCP」のサイトは、ファッション通販サイトの見せ方と社会性を共存させるイメージで、取り扱い商材はラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドに特化する。

 各商品の詳細ページには、商品情報と一緒に寄付先も記載される。

 将来的には他社との連携・協業も視野にインテリアや家電、車、ホテルの空き部屋予約などといった分野への拡充も計画。同社はプラットフォーマーとしてNPOと連携し、「あらゆる無駄をチャリティーに回す仕組みを作りたい」(小安会長)としている。

 当該ビジネスのハードルは何と言っても不用品を活用した社会貢献という新しい習慣、価値観を根付かせること。そこで、商品提供者の確保に向けてはパートナーシッププログラムを展開。大手小売店と組み、小売店には顧客に対して不用品の提供を呼びかけてもらい、提供者にポイントを付与する。ポイントの原資は「FCP」が全額負担することで小売店の理解を得たい意向だ。

 また、今回の新規事業でブランド中古品のニーズが確認できれば、寄付型の事業モデルだけではなく、通常の通販サイトを開設することもあり得るという。

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